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ARイノベーションを牽引する! Graffity Inc CEO森本俊亨の起業ヒストリー(後編)

Q-SHOCKをご覧の皆さんこんにちは!
タカタタンです。
前編では、森本さんが東京大学の起業家サークルTNKの体制を変え、1社目を起業するに至るまでの軌跡を説明していただきました。
今回の後編では1社目の失敗から、Graffity開発に至る道筋を語っていただきました!

 

–森本さんは、1社目の失敗からどのように軌道修正していったのですか?

まずは、失敗をして何もなくなったので、1から這い上がっていかなきゃならないと思い必死に考えました。
特に私が経験から学んだことは、意思決定をする中で、1に儲かる事。2にやりたい事、を軸にすることが大切だということです。大きなことをするためには、時流を読んで波に乗らなきゃならないんです。では、時流を読んで、未来を推論するために、私は、テクノロジーを知る必要があると考えました。理由として、「テクノロジーが世の中を変えている」と考えているからです。テクノロジーがどう発展するか知ることで、そこから推論をすると、どういう未来がくるかが分かるはずなんです。だから、テクノロジーを知ろうと思いました。

 

 

–なるほど。「テクノロジーが世の中を変えている」と言う考え方のベースにはどのような背景があるんですか?

『シンギュラリティは近い』というレイ・カーツワイルの本を読んだ事から大きく影響を受けました。
2045年に知能革命が起きて、人間よりも賢い機械が生まれる。それまで、どのようにテクノロジーが発展するのかを語った本です。
本を読んで、私は、テクノロジーが世の中を変えて行く。特にAIが世の中を変えて行くぞ!と思ったんです。
そして、2015年の1月に、変わっていくと考えたテクノロジーは、VRのようなスマホに変わるデバイス、AI、IoTの3つだと思いました。
その中でも一番好きなのがAIとなりました。

(シンギュラリティは近年、2045年よりも早く来るのでは・・・という説も!)

 

–なるほどテクノロジーが世の中を変えていくと言う考え方に関して同意です!もう少し詳しく、AIを選んだ理由について詳しく語っていただけますか。

私は、マクロ的に「儲かることの中から、好きな事を選ぶ」という意思決定をしています。
好きなところから選ぶと、儲からなかった時に続かないからダメだと思います。
伸びる市場から好きな事を選ぶことが大事です。多くの人は、最初に好きなものを選ぶから失敗するのだと考えています。

その前提があった上で推論して行くと、上の3つのどれに貼っても儲かる。その上で、好きな物を選んだらAIになったんです。
なぜAIかというと、私自身が、元々、知能を代替することに興味があったからなんです。

中学高校の頃にいた天才の話になります。彼は、高校生活最後の模試で、東大理三の模試でトップ一桁に入る天才でした。
それで、京都大学の理工学部を首席で合格、ノーベル賞目指してがんばっているんです。

私は、人間は誰でも後天的に天才になれると思ってますし、負けず嫌いなので、彼の言動を事細かく観察して行ったんです。

そして、彼と、話をしていて思ったのは、スペックじゃなくて、思考回路、思考の仕方が違うということでした。
そこから人間の思考がどうなっているのか、という認知科学という学問に興味を持ちました。
認知科学の内の一つの分野にあるのが、哲学であり、その先にあるのが、AIです。
哲学は人間の思考を言語で表し、AIは、数学のモデルで思考を表します。
だから、高校の頃に、哲学を熱込めて勉強しました!
その延長線上でAIに出逢って「あ、これだな!」と気づいた時が2015年の1月だったんです。

 

 

–中高の頃の友人であった天才の思考回路への興味の延長線上にAIがあったのですね!

はい!人間の思考を数学的モデルで表し、代替できるようになったら素晴らしい。皆が普通でありながら天才になれる!そのような時代が2045年におきると言うことに気が付きました。2045年になったら、私は50代です。すると孫さんくらい。イケてる!だったらその時代は私の時代だ!と思ったんです。AIにフォーカスして勉強をして、偉大な企業をAIで目指して行く。これが2015年の1月にした意思決定でした。そこから、ディープラーニングの事を大学院生4人くらいに聞いて、ステップを洗い出し、目標に合わせて読むべき本をリストアップ、そして潰して行くという事を1月からやっていきました。でも本だけじゃ足りない。
AIで起業する時にコミュニティが必要だ。そして、メンタリングしていただける先輩起業家と出会いたい。そう思い、トップのAIのベンチャーの、ABEJA, Inc.PKSHA Technology Inc.で2015年にインターンをはじめました。

 

 

–トップのベンチャー企業でのインターンは、どのような事をするのですか?

ABEJAではCEO/COO直下で、タスクを拾って行くという事をしていて、PKSHA Technologyでは、1つ機械学習を使ったアプリ開発をしていました。
そこで、だいたい、人工知能がどのようなビジネスで使われているのかを知りました。しばらく、インターンをしている内に、私も、もうそろそろ事業を始めていいんじゃないかと思い、1つはじめました。

(ABEJAでのインターンをしている頃の森本氏)

 

–とにかく展開が早いですね!どのような事業を始められたのですか?

ディープラーニングで人間の会話を作れる。と思って、ボットの事業を2015年の10月にはじめました。
ただ、半年くらい仮説検証をしたのですが、人間と同じような会話はディープラーニングではできない、という結論が出ました。
そして、仮説検証の中で、さらに技術的なことが分かってきました。ディープラーニングでいうと、帰納的推論と演繹的推論の方の、帰納法の方しかできない。
数千のサンプルの中から、その特徴がわかるのですが、人間のように文章を作るみたいな、演繹的な思考はできない。そこが大きく分かりました。

また周辺の知識も勉強しました。人間の思考は、大脳新皮質ができたからこそできるようになったんです。生物の進化を考えると、まず、目から出来るし、耳から出来るし、触角からできるんです。五感は、ディープラーニングで代替することができるんです。でもまだ、言語の推論で、演繹的な思考はできません。だから今から10年は、五感を代替する時代なんです。そして、次の10年は演繹的な推論で、言語とかも代替できるようになる。これが今後の人工知能の20年の大きな流れです。

(ボットを検証したPAAKPJメンバー3期生だった頃の森本氏)

 

 

–今からの10年は五感をディープラーニングで代替する事をする時代なのですね!

そうです!だから、次は五感を代替するような事業が一番大事だと思い、2016年の3月にボットの事業が終わり次第、画像処理を研究しようと思って、ドワンゴAIラボでリサーチャーとしてのインターンを始めました。そこから半年くらい、動画像をディープラーニングで学習させて、次時刻を推論するモデルを開発していました。研究内容としては、30フレームを学習し、次の5フレームを推論するというものです。応用先としては、異常値検知などの分野があります。

 

–Graffity Inc を作る前の話を教えてください!Tokyo VR Startupsのプログラムに参加されたのも國光さんの推薦があってと聞きましたが、國光さんとはこの頃にお会いしたのですか?

はい!そうなんです。半年ほどインターンをして、そろそろ画像処理の勉強も終わってきた。私は、最低1000億、1兆、10兆の会社を作りたい!そういう志を目指している人と言ったら、日本の経営者で国光さんしかいない!という事で、TNKの繋がりで、Candle金さんから2016年12月に国光さんを紹介していただきお会いました。お会いした時は、國光さんがAIに興味があった事もあり、僕は「日本の若手でAIとビジネスサイドを理解している人では、トップです!」という話をして盛り上がりました。それからは、ビジネスプランを持って言って、國光さんにプレゼンさせていただき、フィードバックいただくということをしていました。しかし、どうしても1000億を超える事業が出てこないと悩んでいたところ、
Microsoft BuildGoogle I/OWWBC、Facebook8といった米IT企業のカンファレンスにて、ARフォーカスされました。そして、Apple、GoogleからそれぞれARKit、ARCoreが発表されました。そこで、國光さんとの話し合い、「ARの波は想像以上にもっと早く来る!」と結論に至りました。

 

ARの技術的なブレイクスルーは、AIの画像処理分野の発展であり、その処理をサーバーからクライアントに持ってこれていることがあります。つまり、現状、AIの有名な学会で次々と発表されている画像処理の研究は全て、ARに応用できることに気づきました。「これだ!今まで投資し続けたAIを生かして、1兆以上もポテンシャルをもつのマーケットにチャレンジできる。」と閃き、人生の10年をARの事業にオールインしようと思い、國光さんと一緒に事業をディスカッションしました。事業を練っていき、Graffityというアプリを構想し、iOS11の公式リリースと同時にローンチしました!

(日テレの「ZIP!」のチューモーク!というコーナーにGraffityが取り上げられました)

 

–運命的な出会いですね。心の底から応援しています!森本さんの将来の展望を聞かせていただけますか?

正直、億は見ていません。1兆、10兆、という兆のつく事業を作りたい。
だからこそ、早い段階でアメリカ進出も狙って行きます。
まずは、サンフランシスコに事業を展開していきます!

 

–最後になりますが、Q-SHOCKをご覧の皆さんに、意思決定をするためにはどうしたらいいのか、そして、仕事を楽しくするコツを教えてください!

意思決定に関して、まず明確に答えると、大事なのは、世の中がどう回っているかを知る事です。僕らは、資本主義からは逃れらなれないんです。だから、ちゃんと生きていける業界はどこかということを知る。世の中はどうなるのか、時流を読んで行く。その中で好きな事を選ぶ事ですね。そしたら、好きな事をやっていれば、儲かって行く。儲かるし、幸せに生きられて、全てがうまく行くんです。変に、好きなことで儲からないことをすると不幸になる。NPOとかで最低賃金でいいっていうくらい腹をくくっているんだったらそれでいいと思いますが、大抵は、もともと好きだった事が嫌いになったりします。だから、儲かるところから好きなところを選ぶことを楽しく働くためにもお勧めします。

(Tokyo XR StartupsのDEMODAYでプレゼンをする森本氏は、今後のAR業界を引っ張っていく気概を語った)

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早稲田大学大学院卒の27歳。 Tokyo XR Startups、レオス・キャピタルワークスにおけるインターンを経て、早稲田起業家養成講座に触発されDARSと共にQ-SHOCKを開始。現在は、for Startups, Inc.でヒューマンキャピタリストとしても活躍中。趣味は読書とカフェ巡り。ビールが大好き。
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