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CyberAgent Ventures 北尾崇がVCという仕事の尊さについて語る

こんにちは。タカタタンです。皆さんはベンチャーキャピタリスト(VC)ってどんな仕事なのか、ご存知ですか?今回は私と同い年にして、CyberAgent Ventures (以下、CAV)にてご活躍されている北尾さんに話を聞いて来ました。起業やVCに興味がある方は是非目を通してみてください。

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プロフィール

 

 

北尾崇(Takashi Kitao)

1990年12月生まれ。大阪大学経済学部卒。2012年在学中にNPO法人CVS Leadership Instituteへ最年少役員として就任。2014年メキシコにてENVROY MENIKAを創業。メキシコにて、空気中の除菌技術・製品を輸出・販売事業と、現地の日本企業のメキシコ進出支援事業に従事。第13回 CVS Mexico Business Contestにて優勝。2015年日本に帰国し、2016年、シード投資のキャピタリストとして、世界8カ国に拠点を持つCyberAgent Venturesにジョイン。

若手VCが語る、起業しやすい環境づくりの重要性

 

–早速ですが、VCとしての野望があったらお聞かせください。

私は、もっと20代30代のスタートアップ起業家を増やしたいですね。具体的には学生起業家だったり、就職してから起業した人だったり、1回学生時代に起業して、年を経て再度起業する、みたいな人を増やしていきたいなと思ってます。

刺激ある環境を作って起業させていくみたいな(笑)

将来起業を考えている人で「まだ、今は起業のタイミングじゃない」って人は全然それでいいと思うんですけど、そのタイミングが来た時にすぐに「よし起業しよう」って気軽に言える仲間が周りにいることは結構重要です。だから、そういう人を常に自分の身の回りに置いてあげると起業しやすいと思います。

 

–確かに、いざ起業しよう!と思っても色々と必要なものが多すぎる感がありますね。

「仲間を集めないといけない」「相談する人を見つけないといけない」「お金を集めないといけない」って1個もないとさすがにキツイので、「いつかは起業する」と心に決めている状態であれば、起業しようとしている人の周りにそういう仲間を置いてあげたり、そのような場を提供してあげたいですね。だから、いつかはチャレンジしようとしている人が本当にチャレンジをする時に、やりやすい環境をつくるのは重要だと思います。スタートアップと大企業とを繋ぐツキイチというイベントも自分のTwitterトレキタというブログの発信、今CAVでやっている毎月の資金調達ピッチイベント「Monthly Pitch」というイベントもそのような仲間を作る場としてやっています。

具体的に言うと、ツキイチは心の中で「起業したい!」と思っている人もすでに起業している人も来ています。それからじゃあ本格的に起業しようとなった時に、情報を集めだすので、情報収集している起業志望の人にはブログで発信していこうかなと思ってます。さらに実際に起業して「資金調達したいです」って人にはMonthly Pitchという、投資家との接点を作るためのイベントなどをやっています。なのでそれぞれのフェーズに合わせてやっています。

また、フェーズにも縦軸と横軸があると思っていて、横軸は起業の本気度みたいな感じで、先ほど述べたように心の中で起業したいと思っている人から実際に起業し資金調達してる人まででいて、縦軸は年齢で10代、20代、30代みたいな感じであります。

 

年齢・起業・投資の関係について

 

–VCが投資するにあたって年齢での判断基準の比重は大きいですか?

小さくはないんですけど、それよりもその人がどんな人かというのが重要ですね。例えば、スタートアップで世の中を変えたいという人と、独立して個人で稼ぎを増やしたいという人では全然違います。VCで投資対象になるのは、前者の方です。だから、VCにとっては、同じ起業家でもスタートアップっぽい経営者なのか独立っぽい経営者なのかで分かれてきます。

 

–イメージですが、年を取ればとるほど、独立っぽい起業家になるのかなと思うのですが、その辺のお話お聞かせいただけますか?

そうですね。40代でいい給料をもらっててさらに家庭があると、年収を落としづらいということはあると思います。若い年齢の方がリスクを取りやすいと思います。あと、若手が得意とする事業とベテランが得意とする事業はそれぞれあると思います。例えば、C向けの若い人を対象にしたようなサービスはやっぱり若い人の感覚が重要で、逆に医療とか介護、建築などバーティカルに特化したサースとかはその人自身がその業界に知見がないといけないので、年齢よりもその業界に知見がある事が重要です。Snapchatや先日まであったNYAGOのようなサービスはやはり若い世代の発想だと思います。

 

VCが関係構築の際に意識していること

 

 

–先ほど20代の起業家を輩出したいという話をされていましたが、学生との接点はどのように持たれているのですか?

イベントを通してや、学生起業家繋がり、同世代の社会人の繋がりでそこから学生との接点を持ったりしますね。CAVに入って2年半くらいになるんですが、Facebookの友達2000人くらいに増えました。でも、その中でご一緒するのは一部ですが、どこでお会いするか分からないので、一つ一つの出会いを大事にしていきたいですね。

–特に関係性が濃くなる人の共通点などありますか?

1つは、インターネット系のスタートアップ関連の中で、自分で起業をするまでの時間軸が短い人は、仕事上関係性が濃くなりますね。いつか起業したいよりも、起業までの時間軸が割と決まっている方が具体的な事業の相談の話ができるので。

あとは、起業に関わらず、自分の独自の強みを持って何かにチャレンジしている人は、イベントやその他の場面でご一緒できることもあるので、それを通して濃い関係性になることがあります。例えば、VRに特化したアーティストの方や、元リクルートでITにも精通しているが、今はプロのダンサーとして活躍している方などなど。

 

シードの起業家に投資するVCにとって最も重要な能力とは。

 

 

–VCとしてご活躍されて、酸いも甘いも経験してきたと思うんですけど、どんな方がVCに向いていると思いますか?どんな人に来てほしいですか?

「起業家に共感できること」が大事だと思っています。起業家に選ばれる要素はいくつかあるんですけど、その中でも特にシードのVCに必要なのは「共感力」だと思ってます。まだ価値のないものに価値を生み出すのがVCの仕事だなと思っていて、みんながこれいいよねって思っているものに目をつけてもそれは遅すぎるんですよ。だから、去年の12月に仮想通貨投資してるようでは遅すぎで、「やっぱこれ伸びるよね」って思ってビットフライヤーやコインチェックに投資したVCやエンジェル投資家が一番すごいというか先見の明があるわけで、起業家の話を聞いて実際に投資するときに共感できないと投資できないんです。

起業家の可能性だったり、その人の人間性だったり、その掛け算で良い組織ができて、いい事業が生まれるかもしれない、というところに共感することが重要だと思います。

–北尾さんの言う「共感」についてもう少しお聞かせいただけますか?

人の立場に立つことが大事だと思います。起業家に共感するのもそうですし、ユーザーに共感するものそうですし、クライアントに共感するのもそうですね。要は数値で測れない段階ではなにを信じて投資するのかその判断基準はすごく難しいのですが、

VCはユーザーの立場に立って物事を考えられるか、経営者の立場に立って物事を考えられるかってのがすごく大事でそういう意味での共感力かなと思います。

新卒で入った時に「クライアントの立場に立って考えろ」ってよく言われると思うんですけど、そんなに真剣に他社の立場に立って考えることってないと思うんですよ。でも、仕事としてプロとしている以上そこは絶対求められるわけで、それの最たるものはシードのVCです。数字や知名度で信じれるものがない中で信じないといけないので、それは何を担保に信じられるのかというとやっぱり起業家の想いとかユーザーの声とかそういうものをしっかり信じていくしかないなと思います。

だから、そこの共感力はすごく大事ですね。

 

若手VC北尾崇が語る、VCという仕事の尊さ

 

 

–最近、CAVも新しく人が増えているみたいですが、VCをやりたい人に対して教える際に何を大事にされていますか?

VCという仕事の尊さというのはすごく伝えたいです。

もちろん起業家が一番リスペクトすべき対象なのですが、じゃあ投資家は適当でいいのかというと、全然そんなことなくて責任もって仕事しないといけないですし、責任もっている投資家は尊いなと思っています。だから、何がすごいのかというと、価値のないものに価値を見出すところはすごいと思います。

そういうところをこれからVCになる人たちに伝えていきたいですね。

–尊い仕事ですね。日本に対してはどのようにインパクトを与えるものなのですか?

VCという仕事は企業に投資をする仕事でそれでリターンをもらう仕事です。VCは誰からお金を預かっているかというと、日本を代表するような大企業からお金を預かっています。今ある大企業は車やラーメンや、いろんな製品を開発して20世紀の日本経済を引っ張ってきました。でも車とかラーメンとかシャンプーといった製品を開発している企業は日本の人口が減少する中では人口の頭数でしか売れないんです。だから、新しい産業を開拓しなくてはならない。よって、グローバルに事業を展開するか伸びているインターネット産業に介入するかという選択になります。そして、インターネット産業に介入となると、インターネットのプロではないので、わかる人たちにお金を預けて増やしてもらうという事が必要になります。だから、VCなどのファンドに投資をするというニーズができます。

でも大企業の人たちがもっと大きくなるためにはVCが成功しなくてはならなくて、VCが成功するにはスタートアップが成功しなくてなりません。なので結局スタートアップが成功するという事は現在日本の経済を動かしているトヨタとか日清などの大企業の発展になっているんですよ。

 

起業家志望必見!北尾崇の興味領域(2018年6月時点

 

 

–なるほど、、、そして彼らが日本を作っていくと。現在北尾さんから見て、今後来そうなだと思う領域はなんですか?

日本の避けられない問題として、人口減少による労働力不足はあると思いますが、リソースを分散させるような副業やシェアリングエコノミー関連や、法人や事業所や店舗の業務効率に寄与するような特化型のSaaSやAI、地方の地銀や行政のリソースを活用するサービスや、外国人人材を活かすようなものには、興味があります。

また、音声デバイスの普及やブロックチェーン等の新しいテクノロジーによるサービスは常に興味を持っておりますし、デジタルとリアルがより近づいてきてる中で言うと新しいメディアや広告の形も期待してます。

–Q-SHOCKの読者で、記事を読んで、上記テーマで起業を検討されている方は、是非とも北尾さんに連絡をして相談しに行ってみて下さい。ありがとうございました!

by
早稲田大学大学院卒の27歳。 Tokyo XR Startups、レオス・キャピタルワークスにおけるインターンを経て、早稲田起業家養成講座に触発されDARSと共にQ-SHOCKを開始。現在は、for Startups, Inc.でヒューマンキャピタリストとしても活躍中。趣味は読書とカフェ巡り。ビールが大好き。
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