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『キャズムを超える。リアルとバーチャルが融合するXRの未来。』gumi国光氏・Activ8大坂氏・クラスター加藤氏ら XRの先駆者たちが語る

楽しく働く人を応援するメディアQ-SHOCKをご覧の皆さんこんにちは、タカタタンです。昨年の夏にZEALS清水CEOから急に五反田のオフィスに呼び出され、「日本をぶち上げたくて、イベント開くために大金払って虎ノ門ヒルズを貸し切った。日本をぶちあげるために一緒にやってほしい!」と言われた時から企画運営に携わらせていただきました!1,300名以上を集客した、iNTERFACE SHIFT2018の『キャズムを超える。リアルとバーチャルが融合するXRの未来。』セッションのモデレーターを勤めさせていただいたこともあり、記事にさせていただきました。

 

自己紹介

 

弘中寛太(タカタタン)

Photo by Jin

—皆さんXRセッション、よろしくお願い致します!iNTERFACE SHIFTカンファレンス 実行委員会の弘中と申します。「日本をぶちあげる」為に、世界に出て活躍してる人達を考えた時、思い浮かんだのがこの3人でだったのでお声がけさせていただきました。XRの領域で日本をぶちあげていきたいと思います!本日はよろしくお願いします。

 

国光宏尚CEO(以下、国光氏)

 

gumiの国光です、よろしくお願いします。最近は、仮想通貨・ブロックチェーンで有名な国光ではあるんですけれども、VR・AR領域にも、2015年くらいから全張りし続けてます。インキュベ―ションを東京とソウルとヘルシンキの3拠点って感じでやってまして、合計43社インキュベートしました。アメリカのほうに、50億くらいのファンドであるVRファンドを作って26社に投資。最近このVTuberマーケットで投資してるのが12社。VR・AR領域んとこは全張りって感じなんで、皆さんでVR・AR盛り上げて行きましょう!

 

大坂武史CEO(以下、大坂氏)

 

Activ8の大坂と申します。バーチャルタレント・キズナアイも参加している、『upd8』というバーチャルタレントのプロダクションを運営しております。一芸のあるバーチャルタレントを集め、”来たるVR時代ならでは”のタレントとして育てている会社です。今日はよろしくお願いいたします。

 

加藤直人CEO(以下、加藤氏)

 

クラスター株式会社代表の加藤です、よろしくお願いします!、VR上でイベントができるプラットフォームを作ってます。最近、バーチャルタレントの皆さんが盛り上がってきて、たとえば、輝夜月ちゃんがうちで音楽ライブやったりしてます。

 

パイオニアたちが語るXRで勝負する理由

 

 

–フィンテックやAIなど、様々なビジネスが出てくる中で、XRの領域で活躍されているお三方ですが、なぜ今XRなのか!起業した経緯のところから、お話しいただけますでしょうか。

 

大坂氏

Activ8を創業したときは、現在のミッションでもある「生きる世界の選択肢を増やす」というミッションだけがありました。コンテンツ・エンタメをやりたくて、ゲーム・アニメ業界で仕事をしていましたが、リアルの世界では、既にITで支配している会社が圧倒的なパワーを持っていて、そこをひっくり返すのはかなり難しいと感じ、バーチャル世界で勝負しようと思い、バーチャルタレントにたどり着きました。

 

初音ミクさんが代表的ですが、バーチャルアイドルは昔からありました。ただ、それまでのバーチャルアイドルとの違いでいうと、初音ミクさん自身に意志はない。対して、バーチャルタレントには、本人のメッセージや日々の活動があるのが特徴です。

 

–ありがとうございます。加藤さんはいかがでしょうか?

 

加藤氏

弊社のミッションはActiv8さんみたいな、かっこいいのじゃなくて、「引きこもりを加速する」です(笑)今日のイベントも、皆さん電車乗って寒いの嫌だなと思いながら来たと思うんですが、正直家から参加したいですよね。そういう思いを会社のスローガンにのっけてます。

 

私は、VRを初めてかぶったのが4年前で、会社起業したのがちょうど3年前です。2014年FacebookがOculus Riftを2000億円で買収したくらいのタイミングで、Oculus(※代表的なヘッドマウントディスプレイ)を初めてかぶったんですが、そのときに、「これは間違いなく引きこもりを加速させるツールだ」と思いました。同時に、キズナアイちゃんが年末に音楽ライブを開催しますが、その音楽ライブっていうのを、家から参加したい!とかぶったときに思ったのが一番最初のきっかけでした。

 

僕3年間くらい引きこもってたんですが、その時、インターネットが発達しているのに、音楽ライブだったり、人が集まってる熱狂感みたいなのがインターネットにのってないことに違和感を感じていました。この熱狂感だったりとかが、VRを通じてならインターネットに乗り移る!と直感しました。この時の思いがclusterの起業に発展しました。

 

–ありがとうございます。それでは国光さんよろしくお願いします。

 

国光氏

XRとは、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)の総称なんですが、VR/AR両方が、世の中牽引していくと思ってます。

 

2007年にiPhoneが出てからこの10年間ずっとスマートフォンの時代で、「もうスマホがなかったら生活が成り立たない、」と言ってるけど、果たしてこれが本当に便利なのか疑ってみると良い。使用する際に、いちいち取り出さなければいけないし、いちいちメッセージも見て、いちいちボタン押さなければならない。

 

未来の世界、UI・UXは、メガネ型とかコンタクト型になり、目とネットが直接つながって、空間すべてがディスプレイになってくる。

 

例えば、今日、朝来るまでナビで迷った人が沢山いると思いますが、スマホで地図見ながら歩くのも危ないですよね。だったら道にね、ARグラス上にナビがぴゃーって出てくるようにしたらいい。

 

目とネットが直接つながった方が圧倒的に便利だから、AR時代っていうのが100%来るだろうと考えています。ARは、投資先のGraffityをはじめ、先進的な企業が開発してかなり技術が進んできてる。加えて、今は20万円以上するARグラスですが、AppleのARグラスあたりが2020年、遅くとも2021年くらいには出るんで、もうポストスマホのAR時代、っていうのが間も無く、というところまで来つつある。

 

VRも、すごい可能性が大きいと思っています。今VTuberが流行しているのって、例えばおじさんが美少女VTuberになったりとか、自分じゃない何かになるっていうのがどんどん流行ってきてるんです。

 

このリアルな世界に100%は満足して生きてる人ってごく少数なんです。その理由が、持って生まれた、ひとつの外見、ひとつの性格、でひとつのコミュニティに属して生きなくちゃいけなくて、そこから逃げられない事がしんどい。

 

人間の性格は多面的であり、ひとつじゃないはず。でも、多面的な部分を押し出してリアルな世界で私たちが美少女の格好をして歩いてるのとかばれたらまあまあしんどいですよね(笑)

この点、バーチャル上だったら問題ない。複数の外見、複数の性格、複数のコミュニティっていうのを、自分の選択で生きれるようになってくると、生きる幅っていうのが広がってくる。

 

そういった意味で、VRもARも、どっからどう見ても来ないわけがない!と考えてます。

 

XRが社会に溶け込んでいく軌跡

 

 

–ありがとうございます。XR・ARにどう溶け込んでいくのか話を聞きたいです。新しくOculus Questが2019年春に出てきてVRが伸びるという話があるのですが、たとえば、VR会議みたいなところって、今後どう伸びてくと思いますか?

 

加藤氏

XRと言うと、ソードアート・オンラインだとかその辺を想像する人が多いんですが、僕は、その辺現実的に考えています。

例えば、スマホとかも機種変更を繰り返しながら普及していきました。まずはガラケーが普及していて、機種変更というのが2年毎に行われていた中で、選択肢としてスマホが出てきたて、徐々にスマホが選択されていった。これがどんどん続いていった先に、VRも徐々に使われていくのかなと思っています。

 

たとえばですが、そのうち音楽ライブとか「現実空間でやるとお金がかかるし、準備もめんどくさいし、全然バーチャル上でやった方が良いじゃん!」ってなっていく。一個一個メリットがあるところがVRに機種変更されていく。そうやってリアルに溶け込んでいくんだろうなと考えています。

 

人がたくさん集まるとか、コストの高い部分が、VRで入れ替わりやすいのでは、というのが、僕の仮説で、そこに張ってるっていう感じです。

 

海外で進むXRの実践

 

 

–ちょっと国光さんにお尋ねしたいのですが、VRならではのところで、既に海外で行われている実践で、日本にないものとかってなんかあったりしますか?

 

国光氏

VRはBtoBのところで、既にウォルマート(世界最大のスーパーマーケットチェーン)で、その新人研修を全店舗が導入したり、アメリカ軍がVRを使って訓練しているし、教育でも使っているので、BtoBのところでのVRっていうのはこれ、各社売り上げも伸ばしています。

 

より重要なのはC向けコンテンツです。今までは、C向けを考えた時の障害として、ハードが高すぎたんです。VRを一式買おうとすると専用のPCも必要だったりで20万円くらいかかる。しかもこのセンサーが必要なので、大きめの部屋が必要だった。これがついに!2019年5月に出してくるOculus Questが、399ドルでセンサーも必要なしコードもなし、パカッとつけたら直ぐ使えるんです!しかも自由にVR空間内で動ける。ハードは、価格で言うとプレステ4と変わらなくなる。だから、2019年5月以降一気にハードが整って立ち上がりを大きくしてくると予想してます。あとはキラーコンテンツ次第です。

 

キラーコンテンツは、日本が勝つと思ってます。欧米はハイエンドなゲーマーに向けたゲームに注力しています。ゲームでいくと今一番売れてるのは、Beat Saberという音ゲーム、これ30万本くらいもう売れてて、20ドルだからすでに6億で、来年ミリオンセラー突破するのでは?と言われています。今後、ゲームの中のキラーになってくるのは、おそらくソードアート・オンライン、MMORPG、と、サバイバル・シューターと、Minecraftみたいな感じっていうのが、今各社作っていて、うちも今2本作ってるのですが相当クオリティ高いやつが出てきます。ゲームっていうのがひとつ牽引すると思います。

 

加えて、バーチャルユーチューバー(以下VTuber)とかバーチャルタレントはユーチューブ上で見ると普通のユーチューバーと変わんないけど、VR上で見ると変わってきて、これがキラーコンテンツになると思います。

 

欧米ってゲームしかないんです。日本は、アダルトコンテンツともあります。VHSもアダルトコンテンツが牽引したとかいう形なのでこれは強い。ゲーム、VTuber、エロって感じんところがぐぐっと牽引してくるだろうと思います。

 

大坂氏

先ほど機種変更の話もありましたが、ツールやデバイスのリプレイスが発生する前に、コンテンツの置き換えが先に来ると思ってます。漫画・アニメ・ゲーム・TV番組もそうですけど、コンテンツの中心にあるのってタレントだと思うんです。既に、その人を代替するというところで今バーチャルタレントというのが受け入れられつつある。たとえばTVでも、今年ヒットしたNHKの『チコちゃんに叱られる!』、あれも、デジタルならではの存在です。

 

今までのキャラクターの定義では、世界観とか設定があり、その中でしか生きなかったんですが、ユーザーに直接インタラクティブに接してくる。そういう意味で、あのバーチャルユーチューバー・バーチャルタレントみたいなところから、普及していくのかなと思ってます。

 

バーチャルタレントとVRライブの相性が良い理由

 

 

–バーチャルタレントと、VRライブの可能性ってどう思いますか?

 

大坂氏

とても親和性があると思っています。VRの一番わかりやすく良い点は没入できるところ。なぜ没入できるかって言うと、360度自分の視界を支配されて、そこにいるかのように実感できるから。で、聴覚も支配されると、テレビやスマホの平面でミュージックビデオを見るよりも、VRでミュージックビデオを見た方が、その楽曲の示したい世界観を、脳にダイレクトに働きかけることできる。

 

加藤氏

実は、8月にcluster上で輝夜月ちゃんという知名度の高いVtuberの、世界初VRコンサートをやりました!それを踏まえてお話しすると、キャズムを超えるってなった時、どういう要素が必要か考えると、音楽はひとつ要素としてあるだろうと思ってます。言語の壁を超え、世代の壁を超えるからです。

日本から輸出するときに、一番壁になるのは言語。トークベースのコンテンツは日本から出ずらい。でも音楽は外に出やすい。初音ミクが世界であれだけ盛り上がったのも、歌をベースにしたコンテンツだったからという事が大きな要因だったと思います。

 

cluster上で開催された、輝夜月ちゃんの世界初VRコンサートは世界を震撼させた

大坂氏

ライブ話の流れで言うと、たまたま12月24日にYuNiちゃんっていうバーチャルシンガーのライブを開催します!YuNiはデビューしてまだ5か月くらい(2018年12月13日時点)なのですが、YouTubeの動画再生数だけで言うとすべてのバーチャルユーチューバーの中で今2番目です。

 

国光氏

面白かったのが、ちょうど、オリジナル曲をYuNiちゃんって子が出したとき、iTunes上で「1位 米津玄師、2位 あいみょん、3位 YuNiちゃん、4位 藍井エイル」でした。あれはすごかったですよね。

クリスマスイブに開催されたバーチャルシンガーYuNiライブ

大坂氏

はい、興奮しました。さっき言語の壁を超えるっていう話がありましたが、実際にキズナアイのリアルライブがZeppさんで年末にあるんですが、中国だったりドイツからのお申込みがあったりして、これがもしVRライブだったら、物理の壁も超えてきてもらえるのに、、と歯痒い思いをしました。

 

音楽は供給側にもメリットがあります。例えばちょうど、Porter Robinsonという海外トラックメーカーさんが、「ヴァーチャル・セルフ」っていう名前で、アバターで活動していて、グラミー賞をとったという事もあり、アーティストの方ともお話しすると、アバターで活動したいっていうニーズが多いんです。本人が稼働しなくても、キャラクター側が勝手に稼働してくれるというメリットもあるんです。

 

l2018年12月に東京・大阪にて開催された、バーチャルYouTuberとして史上最大規模の単独2Daysライブイベント「Kizuna AI 1st Live “hello, world”」

 

—バーチャルライブを開催すると、バーチャル空間ならではのメリットはどんなものがありますか?

 

加藤氏

一番は、準備するコストが低い事ですね。リアルライブがどんな構造になってるかって言うと、基本の場所代を含めた料金プランがあって、オプションが乗ってくる。さらに、リハーサルも金かかってきたりする…(笑)例えば、花吹雪を飛ばしたとして、掃除する人が必要になります。

 

これがバーチャル上だと、掃除しなくていいんですよ。何発花火打ってもいいし、何回花吹雪出してもいい。掃除はボタンひとつ。消防法にも引っかからない。だからトライ&エラーがすごいしやすい。空飛んでも大丈夫、巨大化しても大丈夫。あと一番のインパクトが、会場自体を変更しちゃっても大丈夫ということ。やりたい放題なんです。

 

また、今のバーチャル上の音楽の体験は、リアルのライブのアナロジーで引っ張られちゃってますけど、そのうち全然違うものに変わっていくと思っています。音楽聞きながら、ドバドバと脳汁があふれ出してくるような気持ちいい体験を追求するようになると思います。

 

バーチャルライブはコストが低く、トライ&エラーを繰り返せる

by
早稲田大学大学院卒の27歳。 Tokyo XR Startups、レオス・キャピタルワークスにおけるインターンを経て、早稲田起業家養成講座に触発されDARSと共にQ-SHOCKを開始。現在は、for Startups, Inc.でヒューマンキャピタリストとしても活躍中。趣味は読書とカフェ巡り。ビールが大好き。
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