楽しく働く人を応援するメディア

社員の自己実現を応援すれば働き方も社会も変わる!元Googleのピョートルさんが作ったプロノイア・グループってどんな組織?

楽しく働く人を応援するメディアのQ-SHOCKをご覧の皆さん、こんにちは、タカタタンです。
本日は『ニューエリート』などの著作で有名なピョートルさんとお話しできるということで、一人で聞くのはもったいなかったので、本日は、タカタタンが所属するfor Startups,incのオフィスを貸していただき、公開インタビューをさせていただくことになりました。

 

自己紹介


ピョートル・フェリークス・グジバチ(以下、ピョートルさん)


ピョートルです。日本に来たのは2000年です。千葉大学で高度経済学を学び、モルガン・スタンレーという会社で働いてからGoogleにスカウトされました。そこでアジアパシフィックの人材開発と組織開発を統括して、次に、人材開発をグローバルに初めて立ち上げ、その中で組織開発や個人の成長意欲を高めるイノベージョンをやりました。そういった経験を通じ、人材開発・リーダーシップ育成・イノベーションの仕事に特化した専門家になりました。そして、2015年に独立して、プロノイアとMotifyというスタートアップを立ち上げました。あと、皆さんご存知の通り、本を出しています。もう5冊出していて来月2冊出るんですけどこれ(ニューエリート)が一番売れています。3週間で5万5千部も売れちゃったんですよー。


世羅 侑未(以下、世羅さん)


よろしくお願い致します。世羅侑未と申します。私は、ピョートルが一人でやっている時のプロノイアにジョインしました。新卒から組織開発という、会社が文化やマネージメント体制、あるいはコミュニケーションのあり方を変える為のコンサルティングをやってきました。どうしたら人が最大限パフォーマンスを発揮できるのか、というところに興味があり、前職で、働きながら大学院に通い、人の創造性と心の充実度が同時に高まるフロー状態の研究をしました。


平原依文(以下、平原さん)


平原依文と申します。なぜプロノイアにジョインしたかというと、小学校2年生の時、単身で中国に留学し、そこから高校卒業するまでに中国、カナダ、メキシコという国に行きました。そこで、同じ歴史なのに、違う国だと学ぶ内容が違ったり、そこから生まれる個人の価値観や偏見にとても違和感を持ちました。そこで、「国籍」ではなく「個」が活きる社会を作るためには、教育を変える事が必要だと思い、プロノイアに入社しました。

 

タカタタン

初めましてタカタタンと申します。今回インタビューさせていただいているQ-SHOCKは、楽しく働く人を応援するメディアで、それを読んだ人が、働く=楽しいと思ってもらいたくて運営しているメディアです。この話を依文さんにさせていただいたところ、「私達が働くプロノイアは皆とても楽しく働いてますよ」と言われ、インタビューさせてもらう事になりました。ということで本日はよろしくお願い致します。

 

ニューエリートの働き方を実践するプロノイアの採用基準とは

タカタタン
早速ですが質問させてください。僕は楽しく読ませて頂きましたが、依文さんと世羅さんが『ニューエリート』を読んだ感想をお聞かせいただけますか?

 

平原さん
日々働きながら学んでいることが盛り込まれています。これからのニューエリートは遊びながら働くって事が書いてあって、読みながら「確かに毎日こんな感じだな・・・」と、すごく思ってます。よく友達に「依文は遊んでるの?」って聞かれるんですけど(笑)最高の誉め言葉です。その、新しい働きを綴っているのがニューエリートです。

 

タカタタン
とても楽しそうですね!そんなプロノイアの採用基準を教えていただけますか?

 

ピョートルさん
会社にきていただく時には、会社のミッションに共感できるかが一番大事です。ここにいる2人のように、共感できたからジョインするのが良いです。逆に、「こう言うスキルを持った人が欲しい」という様なジョブディスクリプションベースの面接を5〜10人の人と会ってもらってして採用しても、結局失敗するケースもあるんです。
でも、この会社組織の中で、自分の活動によって社会を変えたい、という人であれば間違いない気がしてます。

だから、働き方についていうと、プロノイアの皆がどこに行って何をしているって、率直に言って全然気にしてないんです。最終的な結果を持ってきてもらって「失敗しました」でもいいし、「すごい良くなりました」でもいいと思うんですよね。根底には、自由を持ち、自分らしいパッションで働き、自分の目標は自分で立てようという考え方があります。

 

また、会社が、「枠」なのか「軸」なのかって考えた方がいいです。会社を枠だと思えば、ジョブディスクリプションの採用になります。例えば、スキルベースで人を並べて、どの人がいいのかって枠の中に入れる採用です。
逆に、私たちは、会社を軸だと思っています。軸に共感するコミュニティ作りに力を入れています。僕が出している本はコミュニティ作りの為の一つの取り組みですし、取材や講演会もその一つです。そうするとピョートルという変な外人の話の軸共感できる人たちが集まります。

例えば、「イベントに参加したいんです」っていう人も来るし、本読んでメッセージを送ってくれる人もいるんですね。その次に、一度会って話したい、ピョートルたちのチームのイベントに参加したい、次にはイベントのボランティアになりたい、さらに次のレベルで、例えば、うちの会社では、Yahoo!、リクルート、電通や経産省の人が副業でうちで働いてくれているんです。
その次は契約社員、さらに次のレベルで本当に魂をコミットメントして正社員になりたい、と軸に沿ってどんどん輪が広がります。

軸の考え方は、未来の会社の、組織や採用プロセスの土台になるんじゃないかなと思います。

誰だって変わることは辛い。だからこそ、プロノイアはあえて混乱を作り、個人・組織の変化を支援する


タカタタン

ところで、プロノイア・グループで、どんな仕事をされているんですか?

 

ピョートルさん
仕事は、してないんですよね〜。

 

タカタタン
え、どういう事ですか・・・(笑)

 

世羅さん
言葉足らずですみません…。一言でいうと「プロジェクトリードである本人がやり甲斐を持てて、社会にとって価値のある仕事」です。「楽しすぎて今がなんの時間なんだろう」って。でもそれが仕事なんです。

 

ピョートルさん
昨日ちょうど飲み会があったから、飲み会の場所まで侑未さんと一緒に歩きながら話を聞いていたりしました。すると、とてもピカピカした目で「毎日が楽しいです。感謝してます」って言われたんですね。たぶん一般的なサラリーマンですと「仕事してないんだろう」と思い込んでしまうんですけど、僕は仕事の根本だと思っています。私は、自分の事を下司(上司の逆)だと思うんですね。あえて言えば、一緒に働くメンバーを、ピカピカな目の状態にするのが僕の仕事だと思っています。

 

世羅さん

私たちは、自分たちの仕事を“未来創造”っていう風に呼んでいます。

「その為には何をしたらいいのか」、よく話すんですけど、変化を支援するために一番大切なことって“混乱を起こすこと”なんじゃないかと言っています。

変化って混乱なんです。自分が今まで毎日同じ行動/思考パターンを繰り返してきたのに、今日から違う行動/思考パターンになっていく。昨日からしたら、混乱なんですね。だから、「変化をしようと頑張っているのに、なかなか変わらないんです」っていっている企業を実際に見にいくと、混乱を避けています。今までのやり方で一生懸命、今までの会話の仕方、今までのやり方の中で変化しようとするので、結局何も変わっていない。なぜかというと混乱を避けたいからなんですよ。

変わるって痛いんです。だって、場合によっては今まで自分が「正しい」と思ってたことを全部捨てなきゃいけないですもん。

だから混乱に対する免疫をつける為に、私たちはその会社さんに、混乱することをいっぱい散りばめていくんです。下らないことで良いんです。例えばスーツ着てネクタイ締めて、ちゃんとミーティングしてるところに、こっちは半分冗談でいく。すると、調子は狂うんでけど、面白かったり、なんか新しいことが生まれそう、っていう雰囲気が生まれるんです。

そうやって、混乱への耐性をつけていくと、意外と自然に、行きたい方向へ行く。それが仕事かなとおもっています。

 

タカタタン
依文さんはいかがでしょうか?

 

平原さん
コンサルティングだと提案するだけで終わってしまうのですが、、私たちはパートナーさんを、パートナーを超えた存在だと思っております。

外部の人間だから現場を見ずにフレームワークだけを作るのではなくて、現場にしっかり足を運び、声を拾った瞬間から全ては始まります。そこで、本当に混乱を起こすからこそ、怒りも出てくるし、すごいしらけた顔もされる。でも、それを繰り返すことで、知らなかった一面もお互いあって、それを一緒に作り上げて行くってとこがすごく楽しく、次に進む創造力が高まる時でもあるんです。

女性の価値観によって経営するというプロノイアの実践

タカタタン
プロノイアのメンバーは女性が多いと思うのですが、これはどのような意図があるんですか?

 

ピョートルさん
はい。よく聞かれます。シンプルに、女性らしい会社を作るという実験なのです。

いつ来るか分からないんですけど、「ピョートル、新しい家族が増えました!」って言われたとして、そこから先は実験です。実験だから、ぜひ育児しながら、1週間で15時間でもいいから、遠隔でもいいから仕事をして欲しいんです。

建設的に家族と仕事のプロになって欲しいです。それは男性も女性も一緒です。

 

プロノイア流“楽しく働く”を伝播させる方法


タカタタン

僕はニューエリートを読んだ時、全体を通して輝いている人って、ライフとワークの境界が溶けているなと感じました。ただ、今の会社で楽しく働いているからこそ思うわけで、前の会社の頃読んでいても、どこか別の国の話じゃないかと思ってたと思います。
同じように、他国の事のように感じる人って日本にまだすごく多いとおもうんですよ。楽しく働く輪を広めたいけど、でも、一人の力だと全然追いつかない。その点、どうしていけば良いのか、ヒントをいただければと思います。

 

平原さん

おっしゃる通りで、ほとんどの日本の方が、私たちの働き方を見て、そんな働き方ってありなの?みたいな感じで見てきます。それを打開するために、未来フォーラムというコミュニティ活動をしてます。

そこで毎月、個人・組織問わず、いろんな業界で活躍されている方を呼んで、みんなで一緒に、未来というテーマのもとにいろんなトピックで話します。参加者はそれこそ、古き良き会社の方が多いんですが、イベントをきっかけに、そこから急に転職したり、「本当に世界変わりました」とか「仕事やめました」とか「何か起業しました」って方がいらっしゃるんです。イノベーションって急に起きるものではありません。草の根活動なんです。花開かせるために、毎日こまめに水を与え、種→蕾→開花まで諦めずに繰り返し育めば、きっと変わります。

これからは生き方が働き方です。「個人」一人一人が自分らしく働きやすい環境を一緒に作っていきましょう!

 

世羅さん
私は、「事例作り」と「歩み寄り」の二つってすごい意識しています。プロノイアもここ数年、ずっと事例を作ってきました。提案する前に、まずはこういう風に働けるんだよ、こういう風にできるんだよっていう事例を私たち自身の働き方で見せていく。。。そして、結局どうやったらなれるのかを、一番皆さん知りたいので、そっちに歩み寄る。この二つをバランスよくやっていくことかなと思います。

 

イノベーションに不可欠な“beyond”という考え方


ピョートルさん

少し話を変えてもいいですか。今朝、すごく感動した瞬間がありました。有川一三という65歳のすっごく素敵な方がいらっしゃいます。あまり日本で知られていないんですけど、アルビオンアートという会社をやってます。

オフィスには、千年の歴史がある木造建築を使った茶室があります。
僕は行くと毎回泣いてしまうんです。
昨日、そんな彼のところへ来客した方が、ショーケースに並ぶ数々のコレクションを見て「This is beyond beauty」って言いました。beyond beautyって美しさを超えたっていう意味ですね。この、“beyond”と言うキーワードに、僕は今朝から本当にとてもワクワクしているんです!

例えば、我々の仕事にbeyondをつける。beyond expectationとかbeyond knowledgeとかbeyondってすごく大事なんですよね。beyondっていうのはイノベーションや進化の根本的な土台なんです。

自立を促すには、答えではなく問いを与えよ

タカタタン
プロノイアの皆さんは、きちんと軸や、将来的成し遂げたい未来を共有する大事さを、持っていると思います。
ただそれは、自立した人を前提としたマネジメントのスタイルなのではないか、とも思いました。
自立をしていない人がいた際に、人を自立させるのに意識されている事を教えていただけますか。

 

ピョートルさん
私たちも、自立してない人と接することもあるんですね。
だから、課題が出ていることもあります。でもそれをbeyondしてます。

 

平原さん
今の話を伺って、ピョートルが私を自立させてくれた瞬間思い出しました。

 

まずは問いが多いんです。私がピョートルと働く前、色々相談したことがありました。「キャリアが分からない、どうしよう」とか、「自分に柔軟性がなくてどうしよう」とか。でも、絶対答えを出してくれません。「あなたが分かっているでしょう」と、質問をされるんです。会社のメンバーだけではなく、誰に対してもそうです。この仕事をしていると、よくパートナーの方々から「〇〇を改善するためには、いつ何をすればいい?」と聞かれます。ピョートルはそんな依頼をもらう度に、逆質問します。「今日、何が欲しいんですか?会社を10年後、50年後、どうしたいんですか?」って聞くんです。リードするというよりも、相手がどうしたらその場や仕事の主導権を握ってくれるのかを考えてます。実現に導くためのファシリテーションですね。

また、私が、この仕事をしたいと話すと、ピョートルは、それが良い悪い、もっとこうしたら良いよじゃなくて、「わかった」って言ってくれます。そして、それが失敗しようが成功しようが、私と一緒に動いてくれるんです。それで、失敗して、「ピョートル、やっぱり違った」と言うと、「何が違った?次同じことをしないためにも、何をすればいい?」」って言われるんです。

それが本当にすごいなって。そんな関わり方が自分やパートナーの方々を自立させる。
答えは自分でもっているし、出した答えに対する、判断も絶対その人が一番持っているはず。

仕事を通して考える、世界に何をもたらしたいか

平原さん

もう一つ思うのが18歳の頃に、初めてピョートルと会って最初に聞かれた質問が、「あなたは世界に何をもたらしたいんですか?」なんです。これを当時も今も1on1で聞いて来るんですね。

大きな組織ですと、みんな日々の業務で一杯一杯で、そもそも何したいんだっけ?この会社ってなんだっけ?この会社を通して自分は何をしたいんだっけ?と、考えることを忘れてしまいます。

だからこそ、仕事するときに、「自分がやりたいことは何?」、「会社としてやりたいことは何?」とセッションしていくことはすごく大事です。

「世界に何をもたらしたいか?」ってすごく大きな質問で、そこに根本的な要素ってすごく包まれていて、これを常に追求していくと言うのが、私たちのミッションです。本日はありがとうございました。


※このインタビューがご縁となり、下記イベントを、私が働くfor startups Inc.オフィスで開催させていただくことになりました!奮ってご参加ください。

by
早稲田大学大学院卒の27歳。 Tokyo XR Startups、レオス・キャピタルワークスにおけるインターンを経て、早稲田起業家養成講座に触発されDARSと共にQ-SHOCKを開始。現在は、for Startups, Inc.でヒューマンキャピタリストとしても活躍中。趣味は読書とカフェ巡り。ビールが大好き。
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