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レオス・キャピタルワークスの栗岡さんが語る“見立て”と“狂騒”の人生論

楽しく働く人を応援するメディアQ-SHOCKをご覧の皆さん、こんにちは。タカタタンです。今回は、運用資産総額約7000億円を誇る株式投資信託「ひふみ投信」シリーズでお馴染みのレオス・キャピタルワークスで楽しく働く栗岡さんをインタビューしてきました。私自身2017年に少しインターンをさせていただいていたご縁もあります。

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プロフィール

栗岡大介(Daisuke Kurioka)

1985年生まれ。高校3年生の時にカンザス州のバッファロー牧場に1年間のホームステイを経験後、ニューヨーク州立オルバニー大学へ進学。卒業後は岡三証券に入社。機関投資家向け営業でトップセールスに。2013年3月にレオス・キャピタルワークスに転職。シニア・アナリストとして運用部に配属。両親が画家であったこともあり、大のアート好き。その他にも写真、陶芸、料理など多岐に渡る趣味を持つ。

栗岡さんが従事する、アナリストという仕事について


–早速ですが、運用会社という組織における栗岡さんのお仕事について聞かせてください。

お客様からお金をお預かりして増やす努力をする運用業務という、皆さんにとってあまり身近ではない業務に携わっています。運用業務は大きく分けて2つの役割に分かれています。1つは実際に株式の売り買いを判断するファンドマネ―ジャーです。もう1つは投資先の調査をするアナリストです。私は後者になります。

 

–アナリストとして、日々のお仕事はどのようなことをやっているのか、具体的に教えていただけますか。

アナリストやファンドマネジャーというと、一般的に堅苦しいイメージや、不眠不休で顔を真っ青にして目の前にモニターをたくさん並べて刻一刻と変わる株価を神経質な面持ちでチェックしているイメージがあるかもしれませんが、実際のところ私がやっている仕事はそうしたイメージとはかけはなれているかもしれません。日本の津々浦々を巡り、一日中、夢や目標に向かって努力を続ける人に会い続けています。

アナリストという仕事って、その名の通りanalyze(調査する)から来ているんですが、実は他に“見つめ直す”という意味もあります。即ち、私の仕事は日本の頑張っている人との出会いを通じて日本の企業の可能性を見つめ直す。そして、夢や目標をもって成長している人や企業にお客様からお預かりした大切なお金を投資することで、お客様、企業、日本経済を元気にしたいと思っています。運用に携わる「ひふみ投信」にはそんな「人の可能性に投資をする」という強い思いがこもっています。

 

投資はアート?!栗岡さんが語る、投資における見立てる力の必要性

私もQ-SHOCKというメディアを通じて様々な経営者へインタビューをしています。そんな私の興味本位の質問ですが、栗岡さんは普段どんな方々にお会いされていますか?またお会いしているときに気をつけている事は何でしょうか。

まず、頻繁にお会いするのは企業経営者や取締役の方々、工場で生産に携わる方々です。そうした方々は一般的にアナリストがインタビューを行う対象です。加えて、私の場合は更に視野を広げるべくアーティストやデザイナーなど、業種・業界を絞らず幅広くユニークな方々にお会いするようにしています。もちろん、インタビューする相手の情報がある場合はチェックしてからお会いしますが、その情報によって固定概念を作らずフラットな状態で会うように心がけています。また、企業、仕事の内容以上に、インタビューする方の個性に注目してお話をするように心がけています。

 

話は少し飛びますが、私の両親は画家ということもあって、私自身アートがとても好きなんです。なぜ、アートが好きかというと作品を理解するという行為を通じて“見立てるチカラ”がつくからなんです。例えば、現代アートに大きな影響を与えたマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)を知っていますか?“既製品”に対する見方を変えて、「これがアートだ」って言った人です。彼の代表作に「泉」というものがありますが、これはホームセンターで売っているような便器を置いて向きを変えただけのものなんです。つまり、彼は便器を泉に“見立てて”、その行為自体をアートにしたわけです。既成品に意味やメッセージを与えることで作品として価値を生み出し、新たな思想を創り出したわけです。


–アートが見立て、と言うことはなんとなくわかりました。では、見立てと投資がどう結びつくのですか?

 

私がアナリストとして人に会って何をしているかというと、その人や企業のこれからを “見立てる”ということなのです。ですから、人とお会いした際にも、既存の情報だけではなく実際にお会いすることによって、彼らの胸の内にあることや、その人自身が気付いていない可能性を言語化・可視化するように努めています。そうするとハッとするような組み合わせが生まれたりして、すぐにファンドの投資に結びつかなくとも、良い方や企業をご紹介したりできます。「イノベーション」って、日本語で「新結合」と訳されます。イノベーションを起こすためには、これまで気が付かなかった組み合わせを見立てるチカラが必要不可欠です。

 

この作業は、AIにもなかなかできないことだと思います。全国を走り回ってインタビューしていると「このインターネット社会で直接会いにいくより効率的なやり方があるでしょ」って言われることが増えてきましたが、私は違うと思っています。 なぜなら企業を数字や言葉だけで表すことは難しいからです。投資先には人がいる。人が集まるとグループになって、グループがもっと大きくなると会社という組織になります。人に性格があるように法人にも人格がある。AIは企業文化のような定性的な部分を数値で表せませんし、その企業のもつ成長ストーリーを予測することも難しい。

 

私自身、年間約400社に訪問しているわけですから、単純に400人に会ったとするとその400人と会話を重ねることによって、企業のこれからの見立てを様々な人々を交えて続けています。それを私は“共創”と呼びます。まだ見ぬ、これから、という手触り感のないものに対し、時にはアーティストやデザイナーと一緒に対話を重ねています。どれだけ売上があがるのかという定量的な話も重要ですが、これからどうありたいのか、事業を通じて誰を幸せにしたいのかなど、定性的な話のほうに私は時間をいただくことが多いように思います。

 

余談ですが、私はデュシャンより千利休の方が好きなんです。デュシャンが100年前に「泉」を発表しましたが、千利休は300年以上前に茶室という一つの空間の中で、様々な「見立て」や「しつらい」を行い客人をもてなす術を考え抜いたんです。つまり、これからの社会に向けた建設的な対話の場を設けたわけです。私はお茶を点てることはできませんが、利休のようにできるだけ多くの人々にあい、これからの社会・会社について良い対話をする努力をしたいといつも思っています。

 

栗岡さんが語る、レオス・キャピタルワークスの魅力


–栗岡さんって本当に哲学を持って働かれていますよね。その栗岡さんが働いている、レオス・キャピタルワークスってどんな会社なのですか。

この会社がなければ今の自分はないですし、入社して4年以上経った今も毎日学びや気付きを提供してくれます。社名のレオスとは、ギリシャ語で「流れ」という意味で、日本のキャピタルであるヒト、モノ、カネを会社を通じてワーク(協働)させよう!という創業者の強い想いが込められています。

レオスの特徴を一言で表すと、「自由」!。企業の理念である「資本市場を通じて社会に貢献する」ためであれば、自由な働き方が容認されています。

 

レオスの入社面接のことを今でも鮮明に覚えていますが、代表であり創業者の藤野が面接で開口一番「前の会社で挑戦したかったけどできなかったことをやりなさい」と言いました。「前の会社では営業をやっていたの?」「そうです」「運用はやったことある?」「ないです、でもやってみたいです」って答えたら「じゃあ両方やりましょう」って言われて(笑)私も驚いて「では、どうすればいいですか?」と質問すると、「一緒にいて楽しい人と、楽しく働くこと。これを心に留めて、自分が良いと思う会社を見つけてきてください」って言われて「それでいいんだ」とハッとしたと同時に、私はここで働きたいと強く強く思いました。

 

実は昔から日本にあった素敵な砂場とは


–砂場とは、新しいキーワード!すごく楽しそうです!レオスのように良い企業の特徴を教えていただけますか。

はい、私が砂場という言葉が好きな理由は、何度も作り直せるところ。山を作ってトンネルを掘って、途中崩れてしまったとしても、また土や砂を盛るところから始めればいい。要は、いい企業には、社員・外部者、関係なく自由な議論、モノ・サービスづくりを許容する文化と失敗を許容する文化があるということです。例えば起業家向けのコワーキングスペースを提供するWeWorkは、まさにこの失敗から創造が生まれるという文化自体をビジネスにしています。ただ、WeWork的思想って、実は、ずっと昔からあったんです。

 

今から700年前に応仁の乱があった時、京都が焼け野原になったのは皆さん知っていると思います。当時足利家の当主は、足利義政です。彼は“美”にとても聡い人で、アジア中から様々な美術品を集めたんですが、応仁の乱の時に全て壊されてしまい、その後東山に質素な山荘を建てちっ居していました。それが今の銀閣寺です。当時京都にいた守護大名、禅僧、茶人が東山山荘に集まり枯山水や松林図屏風など侘び寂び文化を東山山荘から生み出しました。戦で焼け野原になった京都という“何もなくなってしまったところに何かを見立てる、それが”東山文化になった。業種・業界の垣根を超えて、プロジェクトごとに組織や場所を最適化させた先にイノベーションが生まれたわけです。まさしくWeWorkの世界が700年前の東山にありました。だからこそ、何がおこっても悲観しないことが大事。ピンチは、何かが生まれるチャンスだといつも思っています。

 

全国に足を運ぶ栗岡氏が語る解放区の魅力


–昔の日本人はWeWork的な場づくりを、逆境の中で行っていたわけですね。それでは、現代において、場づくりを上手にやっている企業の事例などがありましたら教えてください!

 

私は地方という言葉は好きではなくて、都会にはない自由な発想でイノベーションを創出しているという意味で、“解放区”と呼んでいます。解放区では、銀閣寺的な場所が既に沢山あります。解放区の人口は減っているものの、耕作放棄地や空き家など何もない場所が広がっています。そういう場に根付いて成長している企業は、東山山荘的(銀閣寺)な視点を持って様々なビジネスを展開しています。

 

事業の多角化は好例です。地方にいくと、一事業者が介護施設、葬儀屋、保育園、飲食店を行っていたりします。コングリマリット化が進み過ぎて「結局何をやってる企業なの?」と思われて周りからの評価が十分にされていないことがありますが、実は顧客のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を上げながら、トータルで利益を上げることができますし、顧客のビッグデータを共有することにもつながるわけです。

 

また、上記の多角化経営をしている企業の取締役会では、単一事業者では議論されることのない多角的なアイデアが飛び交います。まさしく、思考のダイバーシティー経営が日々実践されています。東山文化が焼け野原に何かを見立てたように、“解放区”では耕作放棄地に地域の明るいこれからを見立てて、地域とともに成長する企業が増加してきています。アナリストとして全国の“解放区”の企業家の方々にお会いする中で、今後の日本のアップサイドは都会ではなく“解放区”にあるのではないかと感じています。

Q-SHOCK読者へオススメ、 “見立て”の始め方


–Q-SHOCKを読んで欲しい層は仕事に対してネガティブな考えを持っている人もいるのですが、そのような人にも見立ての楽しさを知ってほしいのですが、簡単に始められる方法を教えてもらってもいですか?

 

本屋に行くといいと思います。実際の本屋には、ネット通販・アマゾンでは得られない気づきがあります。一度、大きな書店に行って、本屋の隅から隅まで歩いてください。本のタイトルをみるだけでも「こんな考えがあるんだ」と知らない世界を見立ててみてください。きっと自分の興味のある分野をみつけることができます。現状の生活に対して不満がある人は、自分の生きている物理的・精神的な生活圏の範囲を決めてしまっている傾向があると思います。しかし、世界は広く、私達の知らない場所でイノベーションが日々生まれています。新しいコトを始める必要はありません、まずは気軽に本屋さんへ。

 

本屋から話は少しそれますが、「カマス理論」ってご存知でしょうか。水槽の中にカマスがいたとして、そこに餌を入れると餌に食いつきますよね。で、ある時に餌とカマスの間に透明な壁を作ります。カマスはこれまで通り餌を食べようとしますが、壁があるから食べられません。何度か壁にぶち当たると餌を食べることを諦めます。しばらくその環境を維持した後に壁をそっと外して餌を入れてみても餌に食いつかない。そこで、新たなカマスを一匹水槽の中に入れてみる。新しいカマスは壁があったことを知らないので素直に餌に食いつきます。その様子をみた諦めていたほうのカマスが「え、私も行けるかもしれない」と気づいて餌を食べだします。

 

私がカマス理論を通じて伝えたいのは、「私達にも出来るかもしれない」という心を持つことの重要性です。パーフェクトな人間なんていない。壁に何度もぶち当たってもいいじゃないか、少し時間をおいて再チャレンジしてみよう。これからも私自身、いろんなモノに興味を持って壁にぶち当たりながら社会を泳いで、いろいろ試してみたいと思っています。書店をくまなく歩くことはそのキッカケをいつも私に与えてくれます。

 

祭りをおこすために、“狂騒”せよ


–新しい気づきを得るためにも、これまで経験したことのないモノ・サービスや人との出会いは大事という事ですね。最後にQ-SHOCK読者に伝えたい事はありますか?

 

これは、「KEISUKE MATSUSHIMA」というレストランを経営している松嶋啓介シェフから聞いた話なんですが、今は「少子化で祭りがどんどん減ってきている」と。祭りとは、もともと社会と人間の“間(ま)”と場を“釣り”合わせるものだからマツリって言うそうです。祭りには縁日が存在し、アクティビティを通じて出会いが育まれた。ただ、現在は少子化も相まって祭りの担い手がどんどん減ってきている。「だから、間抜け(挑戦しない人たち)が多くなってきている」と松嶋さんはおっしゃっていて、なるほどと思いました。

 

じゃあどうしたら良いのか。私がいつも思っているのは、まずは声を出してみること。自分の挑戦したいことを言葉にして発信を続けると、不思議と仲間が集まってきます。先程の砂場の話との通じるところがありますが、仲間とワイワイ楽しく騒げばいんんです。競争ではなく共創の時代と称される時代。この2つの言葉の間には「狂騒」する事があるような気がしています。だから、皆さんも、恐れずに騒いでみましょう。きっと共感してくれる仲間がもっと集まってきます。今は、変化のスピードが早い。だからこそ、ご縁を大切にしていると、いろんな支援者が出てきます。月並みな表現になりますが、お金よりご縁を大切にするほうが、将来の大きな成功に繋がるいいアイデアが生まれるかもしれません。お金の運用に携わる私が、お金より縁だというと不思議に思うかもしれません。しかし、金融は信用を創造する非常にクリエイティブな仕事だと信じています。

 

これからも、投資運用業務を通じて、日本の明るい未来を見立て、なんらかの形で祭りのように皆で楽しく狂騒したいといつも思っています。それが、共創につながることを信じて。今日は、どうもありがとうございました。

by
早稲田大学大学院卒の27歳。 Tokyo XR Startups、レオス・キャピタルワークスにおけるインターンを経て、早稲田起業家養成講座に触発されDARSと共にQ-SHOCKを開始。現在は、for Startups, Inc.でヒューマンキャピタリストとしても活躍中。趣味は読書とカフェ巡り。ビールが大好き。
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