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「企業に選ばれる時代は終わりました」シリコンバレー発の若手起業家、戸村光が仕掛けるチャットボット就活とは

Q-SHOCKをご覧ののみなさん、こんにちは。

今回ゲストライターとして寄稿させていただきます、ずーまー(@whiskyjunky)です。

 

加熱を増す人材業界の「超売り手市場」。

企業が学生を選んでいた時代は終わり、優秀な人材が企業を選ぶ時代へと遷り変わっています。そんな中、海外で活躍する日本人留学生をコアとした一流人材と、企業をマッチングするためにリリースされた逆求人サービスが『hunterbook』)です。就職ではなく、シリコンバレーで起業するというキャリアを歩んできたからこそ感じた日本の就活文化に対する違和感、そしてhunterbookに掛ける思いを、hunterbookを運営するhackjpnのCEO、戸村光 氏と同社COOの江原初奈 氏にお伺いしてきました。

プロフィール

 

戸村光(Hikaru Tomura)

1994年生まれ。 2013年1月に日本の高校を卒業後、渡米。現在は米国シリコンバレーにある大学に進学し政治学を専攻する。同年12月に高校時代に出会ったチャットワーク代表取締役の山本俊行氏に偶然にもシリコンバレーで再会。その後、チャットワークでインターンシップを行いビジネスのノウハウを徹底的に学ぶ。2014年10月にシリコンバレーの留学生がインターンシップをできない問題を解決すべく、企業と学生のマッチングサイト“シリバレシップ”をリリース。同年12月にはHACKJPN,INCを米国で創業する。

 

江原初奈(Nina Ehara)

1997年生まれ。15歳の時にアメリカのノースカロライナ州へ引っ越し、アメリカで4年間の高校生活(アメリカは高校が4年制)を送る。高校4年次にはノースカロライナ大学チャペルヒル校にも同時に通う。その後、帰国し現在はhackjpnでCOOとして新規事業開拓やメディア業務、イベント開催に従事。平日は毎日Youtubeチャンネル「hackjpn」で海外スタートアップに関する情報を配信している。

 

「企業に選ばれる時代は終わりました」シリコンバレー発の若手起業家が仕掛ける「hunterbook」

 

 

–hunterbookのサービスについて教えてください。

江原初奈 氏(以下、敬称略):hunterbookは海外大学への留学生やインターン生、海外で活躍する日本人留学生など、優秀な学生がFacebookのメッセンジャー内の「チャットボット」で就職活動ができる、というサービスです。

ユーザーである学生はチャットボットの質問に答えるだけで、受けたい企業の選択から面接のセッティングまで、一気通貫で行うことができます。なので、特徴としては大きく2つ。

 

1:海外で活躍する日本人学生向けの逆求人サービス

2:Facebook Messengerのチャットボットというプラットフォーム上で、自分に合う企業とマッチし、面接の設定まで完結することができるサービス

 

–このサービスを立ち上げた、何かきっかけがあれば教えてください。

戸村光 氏(以下、敬称略):2013年にアメリカへ渡ってから、現地での学生生活やhackjpnの事業を通して、本当に多くの日本人留学生に出会いました。

そこで出会った学生は語学力だけでなく、行動力もあり、グーロバルな視座で物事を考えられる優秀な人ばかり、企業からも引く手あまたなはずです。

 

しかし、日本の就活時期と留学スケジュールが合いにくく、留学していながら就職活動をすることは非常に難しいため、優秀にも関わらず就職活動の選択肢の幅が非常に狭くなってしまっています。学生にとっても、そして企業にとってもこれはデメリットしかありません。

 

–実際、就職活動のスケジュールが合わないということを理由に、留学に対して消極的な大学生が多い気がします。

戸村:なので日本人留学生の多くが、就職活動として年に一度のボストンキャリアフォーラム、通称ボスキャリと呼ばれる、たった2,3日のイベントのためにわざわざアメリカのボストンに出向いて就職活動を行います。日程も11月の下旬、普通に授業期間中に行われているので、日本人学生だけボストンキャリアフォーラムというものがあるから行かないといけないと、教授やインターン先に説明して休みをもらわないといけません。

凄い決意を持って、お金と時間をかけて留学したにも関わらず、たった2,3日の就活イベントで自分の人生が大きく変わってしまうかもしれない、これは留学生にとって大きな問題です。また、企業はそのイベントの出展費に400万ぐらい掛かります。なので、新卒採用費が豊富にある大手企業しかそもそもそこに出展できないんです。ベンチャーなどは当然エントリーできません。

 

–アメリカ滞在中の経験、周りにいた就活生のリアルな悩みから生まれたサービスなのですね。

戸村:私たちhackjpnは「周りの人から幸せにする」ということをコンセプトとして掲げています。hackjpnの日本法人を昨年に立ち上げたのですが、日本のメンバー全員が留学経験者なんです。留学を経験した私たちだからこそ感じたこと、そして周りの人が困っていることを、このhunterbookというサービスで解決していきたいと考えています。

 

 

企業選びはチャットボットで。スマホ世代が求める、片手で完結する就職活動

 

 

–もう1つのサービスの特色として、Messengerのチャットボットを利用していると仰っていましたが、そもそもなぜチャットボットというフォーマットを選んだのか、その背景をお伺いしたいです。

戸村:人事の方々が考えている以上に、ミレニアム世代はサクサクしたユーザーエクスペリエンスを求める世代です。スマホで簡単に、気軽に。わざわざパソコンを立ち上げて、腰を据えて従来のような求職サイトに自分の情報を入力しないといけない、これが窮屈で仕方がないと感じています。

PC離れが進み、可能な限りスマホで完結したいという世代なので、チャットボットが一番離脱率が低く、ユーザーにとって苦のない状態で利用していただけます。また、わざわざほかのアプリケーションやウェブサービスに飛ぶことなく、Facebookのメッセンジャー上で完結することが、UX的にも優れていると考えました。

 

–チャットボットだからこその課題はあるのでしょうか。

江原:hunterbook内では「SUZUKO」というチャットボットがユーザー対応をしており、求職者が「SUZUKO」に対して就職相談をしています。単なるチャットボットだと、ユーザーから愛情がないように思われ、すごく雑に返信してくる方もいたりします。「それ以外にもご相談はありますか?とメッセージしたら、「お腹すいた」「眠い」「疲れた」とか、どうでもいい内容が返ってくることも。

そこで、無機質な自動返答のような形ではなく、人間味を出すために弊社の松田さんをモデルとしたひとつの人格としてチャットボットを設計したところ、そういった無意味な返信は来なくなりました。今も細かいメッセージの口調や表現も、日々ブラッシュアップしているところです。

 

–今後のサービスの展望を教えてください。

戸村:リリース当初は、いわゆるグローバル人材のためのリクルーティングサービスとしてスタートしたのですが、今後はスキル別で、例えばエンジニアスキルであったり、マーケティンググロースのスキルであったり、一芸に秀でたスキルをもつ優秀な人材のためのリクルーティングサービスとしても広めていきたいです。

現状の新卒一括採用のルールでは、優秀な学生であればあるほど、就職市場に出てこないと思っています。このままだと企業は優秀な人材を採用できない社会になってしまうのではないかと。それは確実に日本にとって大きな損失です。ポテンシャルのある優秀な学生と企業のよりよいマッチングを生み出していき、より日本を盛り上げていきたいです。

 

 

卵を割らないとオムレツは作れない

 

–最後にQ-SHOCK恒例の質問をさせてください。同世代へのメッセージがあればお願いします。

戸村:起業しろ。「卵を割らないとオムレツは作れない」、とりあえずアクションしないとなにも成果は生まれません。

江原:「四つ葉のクローバーを探すために、三つ葉のクローバーを踏み潰してはいけません」。自分の幸せを見つけるために盲目になってしまって、周りの人を踏み潰すような人間になってはいけません、ということを私は意識しています。「Happy×Happy」であること、自分の仕事によって周りの人にもHappyにし合えるような社会を作っていきたいです。

 

–ありがとうございました。

 

(文・写真=大木 一真 @whiskyjunky

by
Whisky Junky!!! 編集長 3度の飯よりウイスキーが好き。 あとめがねも好き。 (@whiskyjunky)
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