楽しく働く人を応援するメディアのQ-SHOCKをご覧の皆さん、こんにちは。タカタタンです。
今回は、須田仁之(以下、スダックス)さんの著書『捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法(かんき出版) 』の刊行を記念して開催された、「ゆるふわ」で、成果を出す働き方 須田 仁之×古川健介(以下、けんすう)トークイベントを記事にしました!
今回は、スダックスさんやけんすうさんが生産性を上げるために取り組まれている具体的な施策や考え方など幅広く語られているので、ぜひご覧ください。
目次
20代は、イマジニア社長秘書、ソフトバンク放送子会社立上げと株式上場(IPO)を経験後、孫正義の元でYahooBB事業立上げに携わる。30代は、アエリアCFOでIPO、ベンチャー支援に勤しむ。現在:関与先の弁護士ドットコム、クラウドワークスが株式上場し、上場請負人として複数スタートアップの役員・アドバイザーとして躍進。
Twitter:@sudax2000
1981年生まれ。19歳で学生コミュニティ「ミルクカフェ」を立ち上げ、大学在学中に掲示板サイトを運営するインターネット企業の社長に就任。2006年、リクルートに入社。2009年に退職し、nanapi代表取締役に就任。2019年1月「アル」を設立。
Twitter:@kensuu
スダックス:
けんすうさん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
けんすう:
よろしくお願いします。これはどういった本なのですか?
スダックス:
基本的には僕の仕事術を紹介する本として書き上げたのですが、出版社さんと打ち合わせの中で、「須田さんは今の所知名度ゼロなので、もっと知名度ある人の仕事術を入れましょう」と言われたので、優秀な人の仕事術も盛り込んでいます(苦笑)。
この本を書いたきっかけは5年程前にWebで記事を書いたところ、かんき出版さんが声をかけて下さりました。
けんすう:
どんな記事だったのですか?
スダックス:
「ホワイトカラーの生産性って低いよねー」という記事でした。
(https://web.all-in.xyz/upgrade/sudax/ 日本のホワイトカラーの生産性を改善するには?)
けんすう:
スダックスさんは、いつ頃から生産性を気にされ始めたんですか?
スダックス:
そうですねえ。僕が20代のころに超膨大なタスクがどんどん降ってくるような環境で働いていて、仕事を早くやらざるを得なくなり、それで効率化のことを考え始めました。けんすうさんは非常に効率良く仕事をこなされているとは思うのですが、若い方を見ていて思うことなどありますか?
けんすう:
僕が新卒の子とかを見ていて思うのは、ほとんどが無駄な仕事をしているなー、ということですね。料理でいうと包丁をいかに早く動かすかを頑張ってる。その前に料理の工程とかを考えた方がはるかに効率化できるというケースが散見されます。
そういう意味では、この本のタイトルにもある捨てたり、手を抜いたり、考えないだったりは大事だと思います。
スダックス:
僕はどっちかっていうと包丁を早く使いこなせってのをオススメしてる方なんですけどね(苦笑)。例えば仕事を効率的に進められるアプリやツールを使いこなせ、とか。captioってメモアプリをオススメしたりしていて、これってけんすうさんもどこかの記事でオススメしてた気がするんですよねー。
けんすう:
captio?何ですかそれ?忘れましたね(苦笑)。僕は、アプリやツールを頻繁に変える癖があって、いろいろ試してます。昔のツールに慣れちゃってるからというだけで使い続けるのは辞めようと意識してます。固執しちゃうと生産性が落ちちゃうということがあります。
スダックス:
例えばどんなものを変えていますか?
けんすう:
例えばノートアプリは良く変えますね。会社ではスクラム(ソフトウェア開発においてチームのコミュニケーションを重視した手法)というのをやってるんですけど、その管理をGoogleスプレッドシートであったり、Asanaというツールでやったりとかしてますね。
スダックス:
他に気をつけていることはあります?
けんすう:
僕は特に、自分の頭で考えないことは大事だと思っていて、学校教育だと「自分の頭で考えなさい」という注文が多いんですけど、よくわかってない人がいきなり自己流でやろうとしても失敗するというのが多いんです。だから、マニュアル本を10冊読んでみて、7冊ぐらい同じことを言ってたらたぶんそれは正しいと思うので、まずは本に沿ってやってみる。進めていくうちにどうしても自分の頭で考えないといけないところが出てくるので、その時初めて考えるというのが良いかと。
スダックス:
でも年齢を重ねると逆転してきません?自分が知ってる方が増えるのでそこのバランスが難しいですよね。
けんすう:
僕は、経営者など同じレイヤーの人と立場を変えてアドバイスし合うことをやっています。人の会社のアドバイスはめっちゃ簡単なんです。けど自分の会社だとその複雑性を知っちゃってるのでシンプルに考えれないのでお互いに立場を変えてアドバイスすると面白いです。シンプルに上からアドバイスできる友達がいるといいですね。
あとは僕は若手に聞きますね。結構若い人が何やってるかが参考になるので、後輩とかには、敢えて先輩面してアドバイスもらうみたいなことは良くやります。
スダックス:
いいですね。後輩に聞くっていうのは新しいなあ!最新のコミュニケーションスキル!
けんすう:
結構参考になります。後輩もそれで学びになって、アドバイスをする立場になって、上から俯瞰すると見えるんだなということに気付けるので、その視点で自分の仕事もフィードバックできるので双方にとってプラスになるんです。
けんすう:
ちなみに孫さんはどんな感じの働き方をするんですか?
スダックス:
僕がYahooBBというプロジェクトで働いてるときは孫さんがまだ50代でしたが、言葉を選ばずに言えば“クレイジー”でした。テンションがずっとマックスで喋り続けてました。
けんすう:
周りは疲弊しないんですか?
スダックス:
疲弊はめちゃくちゃしますね。バタバタと人がいなくなったりとか、誰もそれについていけないんです。
けんすう:
ついてける人はどういう人なんですか?
スダックス:
ついてってる人はいたのかなぁ(苦笑)。僕が働いていたのはもう15年以上前ですけど、今も似たようなテンションで事業推進してますよね。最近、オザーン(Yahoo!小澤隆生さん)さんのfacebookで「毎日生死をさまようような、魁!!男塾(少年ジャンプで連載されていたマンガ)のようだ」ってポストされてましたね(苦笑)。
けんすう:
ソフトバンクの取締役会もすごいらしいですね。動物園のようだと聞いています。
スダックス:
そこも変わってない気がしますね(笑)。
けんすう:
「全員が同時に喋って最後まで喋ってるやつが勝ち」だと聞いています。仮にも日本で超上位の時価総額を誇っている会社の取締役会がそれなのかと安心しましたね(笑)。
スダックス:
僕もあれでいいんだと20代で思っちゃって、だから基本「テキトー」なビジネスマンになっちゃったんですね(苦笑)。
けんすう:
ソフトバンクの経営メソッドって真似できるもの何ですか?
スダックス:
「事業を最速で進める」、という部分は確かに正しいので真似したいところですね。ただし、無茶苦茶に早いんですよ。準備ゼロですぐヨーイドンで全力疾走(苦笑)。プロジェクトって走り出すと現実にぶつかってだんだん実現が後ろ倒しになりがちなんですけど、孫さんは、「もっと早くせい!」って言って、全然出来てないのにどんどんどんどん納期を前倒しするですよ。まだ何も出来てないのに記者会見だけ抑えちゃったり。
スダックス:
話変わりますけど、仕事を進める上で、今までの人生経験で一番「意味があったこと」って何ですか?
けんすう:
20代前半ぐらいに匿名掲示板のサービスをやってたころかなー。「裁判」に巻き込まれることが結構多くて、あれは経験としてよかったですね。大人は割とちゃんとしてないんだなというのが分かりました。(会場笑)裁判所で大人たちがまるで子供のようにお互いを悪く言いあってました。あんまり学生だと大人から悪く言われないじゃないですか。ああいうのを見れて経験できた事がよかったですね。
あとは、やる気とかモチベーションでは自分は動けない、「やる気ってやらないと出ない」ということに気づいたのは役に立っていますね。それまで、やる気が出るまで始めなかったので、それをやめてからいい感じですね。
スダックス:
では、会場からも質問を受け付けましょう。どなたかいらっしゃいますか?
質問者:
起業する際、プライベートの部分で家族関係が崩れないような仕事術はありますか?基本的に頭が事業でいっぱいになっちゃって、奥さんの話を全然聞いてないとか、アポが入っちゃって帰れないという状況をどういう風に切り抜けているのかというのを聞きたいです。
けんすう:
僕は、結構ちゃんと切り分けていて、朝起きてから仕事までは家の事きっちりやって、帰る時間もほぼ決まって、帰ってきっちり家事をこなしています。イレギュラーを認めるとおかしなことになる。急なアポが入ったときって、自分の中で家に帰るっていう事前の予定よりも優先度が高いから入れてしまっているじゃないですか。
今僕が作っている漫画サービス「アル」の開発はスクラムという、1週間のやることを全部優先順位を立てて取り組む方法を取り入れています。そこでも、優先順位が直前で変わることはおかしなことだと思うので、やらないようにしてます。
質問者:
起業家はなんだかんだハードワークをしたら成功すると聞きますが、この言葉は本当なのかどうかお考えありますか?
けんすう:
ハードワークは時間ではなく濃密なアウトプットだと思ってるので時間でハードワークをしないと良いかと思います。
スダックス:
僕はアドバイザーとしていろんな経営者の方々とお話しするんですけど、けんすうさんのような方はレアで、なかなかここまで家庭と仕事を両立できている人はいないですよね。
けんすう:
そうですね。僕は家庭ガチ勢で、子供2人いるんですけど朝6時に起きてお弁当2人分作って朝ご飯作って、学校まで送って、10時ぐらいに帰って仕事して、17時ぐらいには帰って夕飯作って、お風呂に入れて寝かしつけまで全部やってますね。
タカタタン:
けんすうさんのエントリーいつも読ませていただいています!子育てや仕事をしてる中で、どのようにして良質なインプットを得て、アウトプットしているのか、そのサイクルを教えて欲しいです。
けんすう:
情報はTwitterの友達からのインプットが多いですね。あとは生の声が一番強くて、経営者仲間に、メッセンジャー等で聞くのが多いです。
アウトプットは、僕の思考の方法が、ブログを書くように体系的に思考するので、ある程度まとまったらブログとして出すことをしてます。そのアウトプットした結果に対してフィードバックいただけるのですが、そのフィードバックがインプットの中でも重要ですね。当たり前ですが、自分の課題への直接のフィードバックなので。
逆にいうと、本とかって抽象度を挙げないとターゲットユーザーが広がらないので自分の課題にマッチしない時があるときの方が多いです。
質問者:
新規事業を担当する場合に、立ち上げから運用して安定するまでのフレームワークがあれば教えていただけますでしょうか。
けんすう:
世の中に出すまでは良いかどうかわからないですけど、出したら5分ぐらいで分かっちゃうんですよ。フレームワーク、うーん、なかなかないと思うな。あえて言えば『起業の科学』という本はよくできている感じはしますけど。
フレームワークよりも結局のところ、一番大事なのは参入するタイミングだったりするんですよね。起業家が優れてたとかプランがよかったよりもタイミングが良かったの方が成功の要因としては大きかったりして。
質問者:
今までのケースでうまくいったパターンや失敗したパターンなどを教えていただけますか?
けんすう:
パターンですか。うーん。。一例をあげると、友達が「ボケて」というサービスを作ってました。アドバイスを求められたんですけど「これは時間かかるな」と思ったので、「そのまま3年放置した方がいい」と伝えました。そしたらちょうどその3年後に「NAVERまとめ」に取り上げられて大ブレイクしたんです。
あとMirrativも「2,3年かかると思いますよ」と言ってやはり2,3年たってから伸びたんです。
大事なのはユーザーがついてくる「時間」をちゃんと用意してあげることですかね。コンセプトを変えてみたりUXを変えてみたりしてると、ユーザーが混乱してついていけなくなる、なんてのは良くない事例ですね。
※けんすうさん私用により、トークイベント終了※
タカタタン:
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回のイベントでは、スダックスさんが聞き役となり、けんすうさんの仕事に対するスタンスやものの考え方を語っていただきました!数十社のアドバイザーや役員になっているスダックスさんの仕事術を知りたい方は、ぜひ、『捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法(かんき出版) 』をご覧ください!名著!