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“心の余裕は仕事から生まれる”ワクラク谷口さんが語る新しい働き方

Q-SHOCKをご覧の皆さんこんにちは豪Uです。

突然ですが現在のアルバイトの形態はシフト制が多く2週間から1ヶ月先の予定をバイト先に提出するため自分の予定とうまく噛み合わないことが多い、、、

そんな中、今回は1日単位のアルバイト探しができるデイワークアプリ「ワクラク」を運営するWakrak株式会社を立ち上げられた谷口怜央さんにインタビューさせていただきました。起業されるまでの経緯やWakrakのサービスについてお話ししていただきました。

 

プロフィール

谷口 怜央(Reo Taniguchi)

1999年生まれの愛知県出身。中学・高校と男子校に通い、中学生の頃は野球に没頭する。高校2年生の秋に休学し単身上京。半年間のフルコミットインターンを経たのちに1日単位で働けるサービス「ワクラク」を運営するWakrak株式会社を設立。

 

怪我を通じて知る「見て見ぬ振り」をしてしまう世の中

 

 

ー早速ですが学生時代から現在に至るまでの経緯を教えてください

大学には行っておらず高校は2年生の時に中退しました。中学生の頃は野球少年でずっと野球をしていました。しかし中学2年生の時に下半身の怪我をして下半身麻痺になってしまい中学2年生・3年生と車椅子生活を余儀なくされました。当時、医者の方からはいつ治るのかも言われておらず、もしかしたら一生このままなのではないかと思っていましたが1年間のリハビリなどを通じて奇跡的に回復することができました。

その時に自分が困っていても周りの人たちが助けてくれない、手を差し伸べてくれないという、人間そのものの弱さを感じました。

 

ー「人の弱さ」とは具体的に怪我をされた際にどのようなことを感じましたか?

電車通学をしていたのですが、車椅子で電車とホームの段差を乗り越えるのはとても大変なんです。多くの人たちは板を敷いてもらうのですがなぜか私は敷いてもらえませんでした笑。そこでのちのち車輪を少し上げるという技を習得しましたが、最初はできるはずもなく誰も助けてくれないため困っていました。また、車椅子で移動していて車輪が溝にはまって転んでしまった際も周りの人たちは見てはいるのですが、何をすればいいのかわからないのか、声をかけられることもなく見て見ぬふりといった感じでした。

こういった体験をしてすぐに「この現状を変えなくてはいけない」と思ったわけではありません。半年以上は精神的にまいってしまって引きこもっていました。

ですが、たまたま見ていたドキュメンタリー番組でキューバ革命の革命家「チェ・ゲバラ」の存在を知り、180度世界観が変わりました。彼は、アルゼンチン人でありながらキューバや諸国の苦しむ人を見捨てなかった、医者でありながら本当に人々を救うと感じれば手段を択ばず武器をとった。そんな人がいたのかと、衝撃をうけました。そこから自分に何ができるかと試行錯誤した結果、足をなおして最初はアフリカに行き、貧困な人たちに何かできないだろうかと探りました。

アフリカに1カ月間行きそこから日本に帰ってきてホームレスの人たちと200人ほど友達になり、その人たちがなぜそのような生活をしているのか、何をしたいのかということを話していく中で色々と考えるようになりました。そして、おこがましくも彼らがやりたいことができるように支援することもできました。しかし結局、そういった活動は私の範囲内でしか動くことはできません。そうではなく、物事全体の仕組みというのをいかに変えるかというのを考えた時にビジネスや影響力のあるITなどを掛け合わせていかなくてはいけないということに気がつきました。

そこから高校2年生の時に起業するしかないと思いました。しかしビジネスはやったことないし、パソコンもほとんど触ったこともないような状態でした。そこでまずはインターンを通じて勉強させてもらおうと思い、高校2年生の秋に休学して東京に一人で出ました。そこから半年間は企業でインターンをさせていただき、そこではIT系のアプリを作っている会社だったのですがそれを導入する企業さんに対して営業や営業の方の補助をしていました。

 

身近な環境から離れて感じる「気遣い」の本質

 

 

ーアフリカに行った際に日本人とアフリカの人との「気遣い」の点で違いなどはありましたか?

私が感じたのは結局自分に余裕があるかないかということです。文化などもそうなのですが日本人はせっかちで常にあくせくしているイメージがあります。アフリカの方や私が行ったセネガルの方は時間がとてもゆっくり流れているように感じました。15分とか遅刻してきても謝られないというのはよく聞く話だと思います。それは礼儀といったことから考えると失礼にあたるかもしれないのですがお互いに余裕があるなと感じました。

自分に余裕があるからこそ困った人に何の躊躇もなく手を指しのべられるというのは実感しました。街に座っている小さい子やおじいさんに物を持ち寄って食べたりなどもします。セネガルは西アフリカにあり西アフリカの中では裕福とされていますがその中にも貧しい人は多くいます。そのような状況でも気遣いや助け合いというのはあります。日本人は助け合いの精神があると言われそう思い込んでいるのですが、実際に行動に移す人は少ないと感じました。

 

ー実際に行動に移すかどうかという面では日本人はうわべだけになってしまいがちですよね

人に余裕があり目的のある生き方をしているかというのは、そのことに対していかに紐つけるかということだと思っています。私が現在行っている事業も働き方に関するものなのですが、自分がやりたい時にやりたいことをやる、その余裕がある状態を作っていくことを目指しています。余裕がないと困っている人がいたとしても手を差し伸べることはできないと思っています。その余裕というのを私たちはいま働き方という軸から作れないかと挑戦しています。

 

ー普段の生活の中でホームレスの方と交流する機会はないと思うのですが、ホームレスの方と友達になろうと思ったきっかけはなんでしたか?

もともとアフリカに行って帰ってきた時にそのままアフリカに行きたいと思ったのですが親に猛反対され、仕方なく日本でできることは何かを考えることにしました。その時に私が貧困ということにフォーカスしていたのもあるのですが、ホームレスの人たちがなぜあのような生活をしているのか話してみたいと思い1人1人に話しかけるようになり毎日学校が終わったら街に出てふらふらしながら話しかけるようになりました。たぶん半年間は毎日そうしていました。

今まで無視されてきた人たちが会話をする中で、もっと人と話し、触れ合いたいと思ってくれる人たちが多く、そこから仕事をして社会復帰をする人たちも多くなりました。小さなことなのですがその気遣いで全く変わってくるということに気がつきました。しかしそれも結局は私が動ける範囲でしかなく労働集約的なためこれでは世の中全体は変えられないと思い一旦離れることにしました。

 

ーホームレスの方の働くことに対する考え方や、今の自分のあり方に対しての実際の声はどのようなものでしたか?

私自身も当時高校生くらいだったので仕事経験はありませんでしたが、仕事は嫌なもの、耐えながらやるものだというイメージを持っていました。耐えられないという人がホームレスになってしまう、耐えなければやりたいこともやれないというイメージがあるのですが、実はそんなことはなく、社会にある仕事のイメージは変えられるというのは話しているなかで気がつきました。

やりたくない仕事をやり続け、その結果逃れてホームレスになった人もいたのですが、逆にやりたいことをやり続けた結果ホームレスになった人たちもいて、これは世の中がそういう人たちに合わせられていないだけであって必ずしもホームレスがマイナスイメージや悪いということはないと知りました。しかしやりたいことができない状況が日本にあることは事実です。

 

デイワークアプリ”ワクラク”は人に余裕を与えるための新しい働き方の第一歩

 

 

ーではそのような経験を経てから実際に起業するまでの経緯を教えてください。

そもそも自分は何がしたくて東京に来たのか、なぜ起業したいのかを考えた時に、「人にいかに余裕を与えるか」ということが自分がこれから行うビジネスの軸としてありました。生活の1日のなかで1番時間をかけているのは仕事です。それがやりたくない仕事であれば余裕はなくなるわけで、人に手を差し伸べる余裕がないのであれば、仕事を切り口に人に余裕を与えなければいけないと考えるようになりました。

そもそもなぜやりたくないことをやり続けているかというと、例の1つとして、A社で長年働いていたらA社に自分の実績や評価が残り、B社に移って働く時にまた1から実績や評価を作り始めなくてはいけません。それはすごく転職のハードルを上げていると思うんです。だからやりたくない仕事もやり続けなくてはならないと。

それが仮に一つのデータの中やサービスの中に自分の価値や評価が溜まっていく仕組みになればどの会社にいても関係なくなるのではないかと考えています。これは就職のあり方であったり会社のあり方を変えられると思いました。それはサービスに対して就職し、その先に会社や部署があるというイメージです。

しかしいきなりこのようなサービスやアプリを社会人に提供しても受け入れられないと感じ、ますは仕事の入り口であるアルバイトからいかに”自分のやりたい時にやりたいことをやる”という仕事の選択の仕方を提供できないかと思い現在デイワークアプリ「ワクラク」というサービスを提供しています。

このサービスの特徴は3つあります。1日単位で仕事を探せる、面接や履歴書は一切必要なし、給与自体もアプリ内から申請することができ翌日には振り込まれます。この3つの価値提供のことを私たちはデイワークと読んでいます。デイワークというのは日雇いを全てデジタル化したもの、日雇いのイメージよりも、より自由な働き方ができて好きな仕事を選べる、これがデイワークです。現状マッチング数や仕事の回数でいうとワクラクは日本最大級のデイワークサービスになっており、月間2000件くらいのワークを扱うほどには成長しています。

 

ー転職という話がありましたが転職や離職ということに関してどのように考えていますか?

私たちは今アルバイトにフォーカスしていますがそれは入り口でしかなく先ほども少しお話ししたように、1つのデータがサービスに貯まる仕組みを価値になると考えています。何が得意で不得意かというデータがたまり、それをもとにレベルの上がったもしくはやりたい仕事を提供する、資格がなければできない仕事なども提供していく、というようにサービスを通していろんな仕事ができ、職の幅を広げていくというのを構想として持っています。

これをすることで、大学生や主婦の方がメインであったものがホワイトカラーなどの社会人にも利用していただくというように変わっていくなと。その中でのデータ自体が私たちの価値なので、今は1日単位ですが、長期的には1週間や数ヶ月単位などと変えていくことを目指しています。転職や離職というのはイメージ自体は悪いものですが私たちはそれ自体をデータを通して変えていくことはできると思います。

 

ーサービスを広げていくことで心がけていることはありますか?

定量的な数値を追うことはできますし、必要であると思うのですがそれだけを見ていると結局ビジョンのないサービスになってしまうと感じでいます。

「結局何がしたいのか」というビジョンやミッションのところから考え、「定量的な計画やタスクに移す」分解の仕方には気をつけて行っています。私たちの掲げているビジョンやミッションは「いつでも、どこでも、なんでも、好きなことができる世界を作る」というものです。事業者や働き手の方を巻き込んでそういった世界観を作っていきたいと考えています。

 

ー実際にワクラクを利用された企業側(飲食店など)のフィードバックはどうでしたか?

価値はシンプルに1つで「安く人が集まる」です。私たちのサービスは圧倒的コスト削減になります。掲載媒体を利用して採用しても1、2ヶ月で辞められてしまってはコストもかかり飲食店側も頭を抱えてしまいます。私たちのサービスは1日単位かつ使わない限りは費用はかからず、かかったとしても給料の10%分だけなんです。また8割以上のユーザーが2回3回と同じ会社で働きます。

1日単位ではあるのですがお互いが気に入れば何度も働きに来てくれるんです。しかし直接契約をするとシフトを組みたくなかったり、現場とのコミュニケーションを拒んだりなどするためアルバイトとしては嫌がるんです。

なので「採用費用は安いけれど同じ人が働き続けてくれる」 というところが価値として明白なのが事業者さんにとっては導入理由になります。

 

 

個人のデータを溜め人材の流動性を可能に

 

 

ー現在飲食店などに多く利用されていますが、近い将来の目標と、その先の大きな目標についてお聞かせください。

実証実験をナショナルクライアントさんや行政さんと行っていまして、少しワクラクとは離れてしまうのですが、ナショナルクライアントさんで社内での人材の流動性を可能にしたいと言う意見があります。社内でやってほしいがやってくれる人がいない、しかしバイトを雇うまでではないといったときです。大手でも多くあることなのですがコミュニケーションが取れていないがゆえに誰がどんな仕事をしていて、何に困っているのかわからないんです。それをワクラクを通せばそこに掲載をしてそれに対して空いている人が社内から応募する状況は作れると思っています。

中長期で言えば、やはりデータをしっかりとためていき仕事の幅を広げること、この一年くらいはブルーカラーに特化していきたいのですが、今後はドライバーや介護などの資格が必要な仕事に対して提供していき、ユーザーの幅を広げることなどは考えています。

 

ー最後に谷口さんの思う楽しく働くコツはなんですか?

なぜやっているのかということが明確になっていると余裕も生まれてすごくやりやすいなと感じています。私の場合は振り切りすぎたのであまり参考にならないかもしれないのですが、社員の人と話していてもなぜやっているのか明確であったり、先を見据えている人は楽しく働けて余裕が生まれると思います。単純な話ではあるのですがこれがあるかないかというだけで気持ちの持ちようや心の余裕は全く変わると思います。

また、ただ仕事をこなすのではなく自分のミッションやビジョン、考えていること、感じていることを人に話すか話さないかというのも全然違ってくるなと。言語化するのは単純なことではあるのですがそれだけで変わってくると思います。

 

by
法政大学キャリアデザイン学部2年 現在Q-SHOCKのSHOCKERとして活動。 趣味はドライブとプロ野球観戦。
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