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訪日観光メディア「MATCHA」のカオさんが語る自社と日本の魅力

楽しく働く人を応援するメディアを応援するメディアのQ-SHOCKをご覧の皆さん、こんにちは。タカタタンです。近年、増加している訪日外国人にフォーカスを当てたサービスを展開している「MATCHA」で楽しく働くカオさんを、インタビューしてきました。

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プロフィール

    

シーソンクラム カオ (Kwan Srisongkram)

1986年生まれ。タイ出身。タイ王国Chulalongkorn大学政治学部国際関係科卒。2008年来日、2011年東放学園専門学卒業後、テレビ番組のAD、海外進出コンサル、インバウンド営業を経験。現在はMATCHAのインバウンド戦略部統括マネージャーを担当。好きな食べ物は豚肉のしゃぶしゃぶ。趣味は一眼カメラで写真撮影。


日本最大級のインバウンドメディアMATCHAとは

 

 

–今、インバウンド業界でMATCHAの名前をよく聞きます。さっそくですが、御社について教えてください。

訪日外国人向けのメディアを作っています。日本の魅力、47都道府県それぞれの良さを世界に届けることがミッションで、日本旅行の基礎情報を知りたい人、日本でのアクティビティを探している人、日本ならではの風習に戸惑う方々など、さまざまなニーズに対し記事を通したソリューションを提供しています。

メインターゲットは旅行者なのですが、実は在日外国人の読者の方々も多くいらっしゃいます。旅行を中心に、日本の情報を網羅的に扱っているからだと思うのですが、そうした方々からも「MATCHAのおかげで助かった」と言っていただくことがあり、やりがいを感じています。

MATCHAは10ヶ国語に対応していて、英語、中国語(繁体字・簡体字)、タイ語のほか、インドネシア語やベトナム語でも展開しています。「やさしい日本語」という日本語初学者向けに書かれた記事もあるんですよ。
ちなみに、現在の月間PV数は500万人超。ユニークユーザー数は200万人くらいです。


多言語で、その国のニーズにあった日本の情報を届けたい

 


―10ヶ国語で記事を作るのは、大変ではないですか?

大変ですが、多言語で展開する記事は、すべてネイティブもしくはネイティブレベルのライターが執筆しています。日本人が日本語で書いた記事を翻訳するときも同様です。自動翻訳機にかけるようなことはしません。

やはり、ライターにせよ翻訳者にせよ記事の書き手が、ターゲットの国の読者のことをよく分かっているかどうかは大事です。日本人にとって当たり前だということも、海外の人には初めて知ることで、説明が必要なことはたくさんあります。そうしたことをネイティブの目線ですくい取れるかどうかで、記事に対するユーザーの満足度か変わってくるんですね。わたしたちは可能な限り日本人にとっての当たり前を疑い、ユーザーの国の目線でアウトプットをするよう、つねに気を配っています。

ライターや翻訳者には、言葉選びのセンスも不可欠です。そういった点も意識しながら人材育成に力を入れていますよ。

 

百聞は一見にしかず。MATCHAの「旅するワークスタイル」

 

 

―日本全国の情報を取り扱うのは、なかなか労力がいりそうですね。

MATCHA編集部では、人気のスポットだけではなく、これまであまり注目されてこなかった場所にも光を当てることを大切にしています。というのも、しっかりとした情報を網羅的に取り扱うことがユーザーの皆さんのためになると考えているからなんです。地方の取材先には、主にローカルの知識を持った各地域のライターさんが訪れ、自分の目で見たことを記事にしてもらっています。もちろん、MATCHA編集部が直接訪れることもあります。

ちなみに、ライターさんといっても、単なる業務委託ではありません。それぞれの言語で書いてもらう必要があるので、多くの外国人ライターさんとお仕事をしていますが、皆さんには編集部がしっかりと面接させていただいています。というのも、MATCHAの価値観を理解していただくことが重要だと考えるからなんですね。

ライターさんに限らず、私たちの価値観を理解してくれるパートナーを見つけることはとても大切です。例えば、営業でも同じことが言えると思います。MATCHAでは、ライターだけでなく、営業チームのメンバーも全国各地を回っているんです。繰り返しになりますが、自分の耳で地域の声を聞き、自分の肌で地域の良さを感じることが大切だと考えているからです。


―具体的な取り組みがあると伺いました。

4月から自社ではじめた「旅するワークスタイル」はMATCHAらしい制度だと自負しています。営業も編集も、オフィスにこもっていてはダメ。会社が一部費用を負担しすることで、地方を旅し、そこからリモートワークをしたり、地元の人に会って交流を深めたりすることを推奨しているんです。つい先日もあるメンバーが北海道に行き、ゲストハウスの運営者に会って、マーケットの様子を聞いてくるなどしています。

現地で生の「経験」をしたことは、最終的に自分たちの事業や記事の内容に反映されるのだと思います。日頃から、現地に行くからこそわかる問題点や課題を解決するよう心がけているんです。今年に入り、組織として特にそういう働き方に力を入れています。

マネージャーとして獅子奮迅の活躍

 


―日本最大級の訪日観光メディア「MATCHA」。社員の約3割が外国籍だそうですね。カオさんはタイのご出身ということですが、どのようなお仕事をされているのでしょうか?

インバウンド戦略部の統括マネージャーとして働いています。私の仕事は、クライアントが抱えるインバウンド戦略の課題を解決すること。MATCHAのコンテンツを使ってどういったお手伝いができるかを提案しています。

最近、インバウンドという言葉はメジャーになっていますが、何から手をつけていいかわからず不安を抱えている企業や自治体の方々が多いように思います。そんな時こそ、われわれの出番。例えば、ホテルや旅館といったお客様に対してはどうすれば訪日客にきてもらえるか、一緒に企画を考えます。自治体などのお客様とは地域を盛り上げるためのPR戦略をともに練るなどしています。

カオさんが感じた日本の魅力

 


―いつ日本にいらっしゃったのですか?

日本に初めて来たのは大学3年生の時です。夏休みに語学留学で3か月間滞在しました。もともと「将来は日本に住みたい」とは思っていたのですが、この留学の時に意志が固まったように思います。タイの大学を卒業してすぐに日本への進学の手続きをし、2008年に日本に来ました。


―日本に住みたいと思ったきっかけは何ですか?

『源氏物語』を漫画化した『あさきゆめみし』を読んで日本語を勉強したいと思ったことが始まりです。その影響で、日本語は中学2年生の時から勉強していました。日本語で文通する日本人の友達もいましたよ。その後、日本のポップカルチャーにも触れて、どんどん日本が好きになっていきました。

高校2年生の時にデンマークに留学していたのですが、その時に日本人の友達と毎日遊んでいたことも日本を身近に感じるきっかけになりました。そうした経緯で、いつしか日本に住んでみたいと思うようになりました。

日本に来てからは、テレビ制作の勉強をするため、専門学校に2年間通いました。その後、番組制作会社に就職し、1年間、ADをやってました。そこは過酷でしたね(笑)よく言われるように、休む暇がまずありません。仕事自体は楽しかったのですが、ある日、忙しすぎて失恋したんです。そこで一旦、自分の人生を見直そうと思い直し、その会社を辞めることにしました。

そのあとは海外進出のコンサルタントとして、日系のコンサル会社で3年間勤めました。それから、また自分を見つめ直すタイミングがやってきます。30歳になる直前に「本当に日本にいたいのか?」と考え始め、これまでを振り返る意味でも世界一周の旅に出ることに決めたんです。

カオさんが世界一周で得た気づき

 

 

―世界一周に出かけてどうでしたか?

結果的に世界一周をする中でホームシックになってしまいました。日本が恋しくて恋しくて仕方なくなったんですね。それで予定よりも早く日本に戻ってきました(笑)その時、これからは日本の魅力を伝えたいと思うようになり、インバウンドの領域の中で就職先を探して、複数の会社から内定をもらうことができました。

実は、当時、MATCHAの代表・青木からも声をかけてもらっていたのですが、「今はタイミングじゃない」と考えて保留にしました。代わりに入社したのがインバウンドリーグやホテルを運営する会社です。台湾や中国、マレーシアなど世界中の旅行博に行くことができて大変勉強になりました。

それから一年後に改めて青木と話をし、当時のMATCHAの現状や課題を聞きました。その上でインバウンド業界を一通り経験した今なら、MATCHAにとっても自分にとってもプラスになるはずだと確信し入社を決意しました。

MATCHAで働く魅力とは

 

 

―MATCHAで働くなかで、楽しいと感じる点、難しいと感じる点はありますか?

楽しい点も難しい点も同じです。難しいから楽しいんです。私は前例のないことが大好きなんですね。「やったことないけれど、何とかしなくちゃいけない」という段階から課題を聞いて、考えて、叩いて徐々に事業の形にしていくことにやりがいを感じます。先方が「できるはずない」と考えても、「とにかく何かできるんじゃないか」と返します。実際に進めていくうちに「あれ?できるんじゃないか?」と先方に思ってもらえたことは少なくありません。困難の山を越えた時の達成感は言葉では表現できないですね(笑)


―今まで前例のないことを推進していくために意識をされていることはありますか?

人それぞれにスタイルがあるとは思いますが、私の場合は先頭を突っ走っていくのが得意です。そこでバババッと道を開いて「ほら、道あるやん!」と後ろを振り返ってメンバーにいうイメージ。交渉のうまい人は道のないところでも説得してやりきりますよね。私の場合、は壁も壊して進んで行く感じです。青木にもよく「突破力が半端ない」って言われますよ(笑)

もちろん、一つの道で安心しているようでは、会社にとってはリスクでしかありません。そのため、複数の道を作り、「業務としてやるべきこと」と「可能性を広げること」の2軸を念頭におきながら行動するように心がけています。その上で、先読みすることは大事。その場で直面した課題に対し、ソリューションを3つ、4つと考えるのが私の仕事なんですよ。

将棋のようなイメージといえばわかりやすいでしょうか。「何が起きても次の道を探す」。これが私の働き方です!

カオさんが日本で働く時に大切にしていること

 

 

―最後の質問です。それぞれの国にはそれぞれの文化があり、その違いは働き方にも表れてくると思います。日本で就職したいと考える外国人の方々へのアドバイスはありますか?

私は「絶対に自分が外国人であると言わない」と心に決めています。外国人だから、と自分で言うのは、外国人として扱われたい、ということだと思っています。差別や区別をされたくなければ、「あなたは日本人だから」とか「私は外国人だから」と言い訳するのではなく、「私は私だ」ということを見せていかなくてはいけないと思っています。

文化や背景はそれぞれありますが、働くということに関して日本人も外国人もありません。「自分は一人の人間としてなにができるのか」を第一に考えるべきだと思っています。

働いているときに国籍のことには触れません。一人の人間として「お客さんの悩みを解決するにはどうすればいいのか?」を問い続ける。問題解決する一つの方法として「外国人の目線」を使う。違いがあるとすれば、ただそれだけです。

Q-SHOCKの皆様に一言

 

 

―Q-SHOCKの読者に向けて一言お願いします。

誰だって「働いてる時間のすべてが楽しい」ということではないと思うのですが、困難を乗り越えて山の頂上に立てば気持ちいいと感じるはずです。苦労したことがないのに楽な仕事だけを求めるというのはオススメしません。苦労がわかっているから楽ってことがどういうことなのか実感できるんです。楽しいとは、すなわち苦しいことが分かるということだと考えています。

楽しく働くために、自分だけを楽しくすることはできません。だから、自分がいる環境で楽しくするためには「自分には何ができるのか?」ということを考えた上で、働くべきです。

自分のやりたいことだけをやればいい、のではなく、まず自分が抱えている課題や業務を果たした上でやりたいことをやる、ということが重要です。楽しいから選ぶということはしてはいけない。ただ、現状あるものを楽しくするということはできると思います。すべては自分次第です。

by
早稲田大学大学院卒の27歳。 Tokyo XR Startups、レオス・キャピタルワークスにおけるインターンを経て、早稲田起業家養成講座に触発されDARSと共にQ-SHOCKを開始。現在は、for Startups, Inc.でヒューマンキャピタリストとしても活躍中。趣味は読書とカフェ巡り。ビールが大好き。
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